「今回、美智子さまがお受けになる『冠動脈CT検査』は画像診断で、『冠動脈造影検査』ほど身体への負担がなく日帰りで行うことができますが、精度が落ちる検査になります。従って、美智子さまの症状は天皇陛下のときほど緊急性や重篤性はないといえるかもしれません」

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 8月9日に皇后美智子さまが東大病院で受けられる心臓の精密検査についてそう説明するのは、大森赤十字病院の心臓血管部長・田鎖治医師。6月末から、胸に痛みを訴えられるようになった美智子さまの検査が発表されたのは7月29日。

「皇后さまの胸の痛みは徐々に頻度が増し、7月24日に24時間心電図(ホルター心電図)検査を受けた結果、心臓につながる血管が細くなり、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなる『心筋虚血』が疑われました。そこで、CT検査を受けられることになりました」(宮内庁担当記者)

 心拍数が上がるテニスなどの運動や、炎天下での活動は控える一方、公務は予定どおり行うことになった美智子さま。異常が出てから検査が決まるまでの1か月間も、お忙しい日々を送られていた。

「6月17日には、私的旅行で宮城の北原尾地区に立ち寄られ、7月16日は福島県を訪問し、2年前に大雨災害で取りやめになった桃農家を再訪し、東日本大震災の被災者をお見舞い。7月20日には那須で静養中に、旧満州(中国東北部)からの引揚者たちが切り開いた千振開拓地を10年ぶりに訪れ、関係者の苦労をしのばれました」(宮内庁担当記者)

 胸に違和感を覚えながらも、社会的弱者や苦労を重ねてきた人たちをいたわろうとする美智子さまの症状について、冒頭の田鎖医師が続ける。

「心臓は血液を全身に循環させている筋肉でできたポンプですが、その心臓の筋肉を心筋と呼びます。この心筋が何らかの原因によって血液が欠乏した状態に陥った状態を『心筋虚血』といい、代表的な疾患として狭心症や心筋梗塞があります。通常、これらの疾患が強く疑われたときは、天皇陛下が’11年と’12年に受けられた『冠動脈造影検査』が行われます。血管に通した細い管(カテーテル)を使って、冠動脈のどの部位がどの程度、狭窄、閉塞しているのかを判定するものです」

 陛下は、この検査で冠動脈に2本の狭窄がみつかり「狭心症」と診断され、’12年2月に冠動脈バイパス手術をお受けになった。

 美智子さまは、8月15日の「戦後70年」にあたる『全国戦没者追悼式典』に出席予定なので、深刻な状態ではなさそうだが、田鎖医師はこんな指摘もする。

「今後、重要な公務などが控えているなら、本格的な検査や治療はその後にという、美智子さまのご判断があったのかもしれません。もし今後、地方に静養に行かれる予定があるなら、医師としては検査や治療に専念することを進言すると思います」