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 7月中旬、東北・山形で見つかったのを皮切りに、関東、中部、四国、九州と、列島各地でサメの目撃・出没情報が相次いだ。

 サメ出没が騒がれたエリアでは、多くの自治体が近くの海水浴場で遊泳禁止や遊泳注意などの措置をとった。かき入れどきを邪魔された地元の観光産業関係者らは肩を落とす。

 8月上旬の数日間、1日最大16匹のサメが目撃されたのが茨城県鉾田市。

「各メディアで大きく報道されてしまい、イメージダウンになった。これ以上、取材は受けたくありません」(商工観光課)

 サメ出現による観光客への影響は大きいようだ。

「激減した震災の年と同じくらい大ダメージですよ……」(商工観光課)

 遊泳禁止が解除されないまま開設期限を終えた海水浴場もあった。神奈川県茅ヶ崎市では、お盆真っただ中の14日に、シュモクザメ約30匹が発見された。

「集計はこれからですが、実感として14日金曜日からの週末はかなり影響を受けました。天気がよく波も穏やかだったので、例年なら浜辺がテントでいっぱいになるはずが、テントも人もまばらでした」(産業振興課)

 来年の対策にも頭を悩ませている。

「検討中。防護網設置にかかる費用などを下調べしています。安全に楽しんでもらえるようにしたいんですが……」(産業振興課)

 16日朝まで遊泳禁止が続いた『サザンビーチちがさき』海の家はもっと切実だ。

「お盆は一番の稼ぎ時で、お店は満席になるほど。なのにサメが出た土日は、スタッフのほうが多いんじゃないかというくらい店内が静かでした」(海の家Aの女性従業員)

「今年は儲けほぼゼロだよ。話にならないね、悲しいよ」(海の家Bの男性経営者)

 と悔しさを滲ませる。茅ヶ崎が地元だという海の家Cの男性従業員も無念さをかみしめる。

「サメが出没したえぼし岩付近はもともとサメの産卵地で、いて当たり前の場所です。大きく報道されたので客入りは例年の10分の1、いやそれ以上激減しました」

 静岡県焼津市や千葉県内でも、来年度のサメ対策を練り始めているという。これは今年に限った異常事態なのか? 出没原因は?

 サメの生態に詳しい北海道大学の仲谷一宏名誉教授は「水温が高くなったことが原因でしょう」と地球温暖化も影響しているとみる。

「日本周辺の暖流は夏に勢力を増し、北上します。サメは暖流を回遊して広範囲を移動するので、暖流がある地帯には、いて当たり前なのです。ただ、今年はわりと沿岸部までサメが来ました」

 沖合でサメが数匹見つかった程度では騒ぐ必要はなさそうだ。海岸に近づいたサメに襲われる危険性はないのか?

「世界に約500種類いるうち、人間を襲う可能性があり、日本付近に生息するのは10~15種類だけです。メジロザメやイタチザメ、オオメジロザメなど。前者2種は浅瀬に来ることもありますし、今年目撃情報が多かったシュモクザメも人を襲った事例がある。安全とは言い切れませんが、“サメはすべて凶暴で人を食べる”という認識は誤解。サメは案外近くにいるものだと踏まえたうえで、必要以上に恐れないことです」(仲谷一宏名誉教授)

 有効な対策については、こうアドバイス。

「一番は丈夫な網で仕切ること。細くて見えにくい魚網ではサメが気づかず突っ込んでくるうえにすぐ破られてしまい意味がありません。見張りを立てていち早く魚影を見つけることも効果的。またサメはバシャバシャ波打つ音や血のにおいに反応するので、見つけたらそれらを発さないよう急いで陸に逃げましょう」(仲谷一宏名誉教授)