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 容疑者逮捕より厄介だったのは、鼻をつまみたくなるような後始末だった。千葉県警が10月に廃棄物処理法違反で逮捕したのは、ブリーダーをしていた41歳の男。

 同県多古町に所有する敷地に、犬や猫の糞尿を染み込ませた新聞紙を詰めたゴミ袋を約5年ため続け、周辺に悪臭と不衛生をまき散らした。そのゴミの山を運び出したのが警察。

「防護服と防塵マスクで作業しました。撤去作業は丸2日間、朝から暗くなるまでかかり、2トントラックで60数回往復しました。大量のゴミ袋は高さ4メートルほど積み上げられていました。水がたまってグチャグチャだったり、虫が這い出してくる袋もあった」(県警生活経済課)

 多古町生活環境課は、撤去前の壮絶な悪臭環境をこう振り返る。

「人糞とはちょっと違うニオイです。いきなり吐き気をもよおすことはありませんが、発酵したような酸っぱい感じがあって、敷地前を通学路にしている小学生は、息を止めていました」

 当然、近隣住人からの苦情が行政に届く。

「2009年ごろから悪臭などについて苦情が来ており、異物処理法に基づいて口頭指導などを複数回にわたりしたところ、'10年10月には1度撤去されました」(多古町)

 このときは容疑者自身が民間業者に依頼して撤去したようだが、周囲の安堵もつかの間。再びゴミがたまりだした。

 普通に処理すれば、100キロにつき400円程度ですむが、容疑者は「処理する金がなかった」と供述したという。

「本人によると敷地内で約70匹飼っていたときもあったそうです。犬種はミニチュアダックスフントやチワワ、トイプードルなどが中心」(県警生活経済課)

 どんなにかわいいチワワであっても、糞尿は糞尿。「地獄の臭気だった」と、近隣住人は身の毛がよだつ思いを語る。

 逮捕後、周辺住民は、深呼吸できるという当たり前のありがたさを味わっている。

「犬は1匹残らず動物愛護センターが引き取りましたから、もう糞尿は出ません。県警と県と町で敷地周辺を合同パトロールしており、昨日(12月17日)も行きましたが、きれいなまま。現在は残り香もなく、息を止めずに登校できる環境にあります」(多古町)