最近話題の2.5次元とは、漫画やアニメ、ゲームという2次元を原作として制作される、3次元の舞台やミュージカルのことを指す。中でも安定した人気を誇るのが、舞台『弱虫ペダル』。その出演者を中心に、8月からBSスカパー!で、オリジナル連続ドラマ『弱虫ペダル』が制作されることになった。主人公の小野田坂道役の小越勇輝、小野田の同級生・今泉俊輔役の木村達成、鳴子章吉役の深澤大河に話を聞いた。

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■ママチャリとロードレーサーは全然違う!(笑)

『弱虫ペダル』は自転車競技部の高校生が、先輩や仲間とともにインターハイでの優勝を目指す熱い青春マンガ。舞台『弱虫ペダル』では自転車そのものを使わず、ハンドルのみでレースシーンを再現する独特の演出と臨場感が魅力だが、ドラマでは当然、ロードレーサー(競技用自転車)に乗る。3人は、クランクイン前に約2週間の自転車のトレーニングを行ったという。

「みんなロードレーサーに乗るのは初めてだったので、やっぱり苦労しましたね」(小越)

「ママチャリに乗ろうと思ってロードレーサーに乗ると全然違いますね(笑)」(深澤)

「(笑) 全然違いますし、ギアも何段もあって、それをどう使い分けるのかとか、どっちの手がどっちで? と慣れなかったりとか。全然触れてこなかったものだったので、すごく難しかったです」(小越)

「靴と自転車がくっつくようになっていて、僕らは最初にそこに手こずったというか。一体になって走ってくれる分にはいいんですけど、取れなかったときが怖い。ママチャリを乗ってたのなんて中学生とか高校生ぐらいじゃないですか。駅まで乗るくらいで。それが今、競技用のロードレーサーに乗る。スピードも全然違いますし、自分の体重のかけかたも全然違いますし、さっき勇輝が言ってたみたいに、20段ギアだっけ? ギアがあるので、それをどういうタイミングでどこの場面で切り替えるのかっていうのも、僕らが演じていく中で大切なポイントだと思います」(木村)

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■舞台版経験者としてのアドバイスは「何もないです!」

 ドラマは、舞台『弱虫ペダル』シリーズのキャストが中心になっているが、3人の中では、小越だけが唯一、舞台に出演していた。その経験からのアドバイスを問われると、

「いや、何もない。何もないです!(笑)」と首を振る小越に、木村と深澤が小越の返事にかぶせぎみに、

「お願いしまーす(笑)」「お願いしまーす(笑)」とアドバイスを催促。

「(苦笑) 作品は知っていましたし、舞台でやらせてもらいましたけど。全然勝手が違いますし、作り方も違ければ、実際にロードに乗って……。そういった意味では、僕ももう初挑戦ですし。ただ、舞台からやっている人たちがたくさんいたので、空気感というか、みんなでやろうという空気はすごく強くて、みんなけっこう打ち解けてたりもするので、ドラマを素敵な作品になるように、一丸となってやっていけたらと思います」(小越)

■共演者に感じる“縁”

 小越は、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで木村と共演したことがあり、今回、再び共演することに。また、舞台『弱虫ペダル』シリーズに過去に出演していたキャストと、ドラマで初めて小野田坂道として共演することにもなる。

「(木村と再度共演することについて)驚きですね。まさかこんなところで!(笑) すごく縁なんだろうなって思います。最初のほうは今泉と作っていくシーンが多いみたいで、合間合間の時間でもけっこう話したりしたりしてるんですけど、これからもっといろんなことを深めていけたらなと思っています」(小越)

「(小越との共演が)初めてじゃないぶん、彼が今までどういうことをしてきたか聞いてはいますし、やっぱり元々知ってる仲というのは大きいと思います。だからこそ、初めて会ったシーンから作るということで、初対面感を持たせなきゃいけないというのもあります」(木村)

「舞台に出ていたほかのキャストとは、まだどれくらい絡むのかもわからないです。でも、自転車の練習をしたりとか、本読みをしたりとか、クランクインの前にいろんなことをしているんですけれど、その中で久々に会った人もいますし、舞台『弱虫ペダル』に出演していたけど、その頃は共演はしなかった人もいたりして、そこで会えたのも嬉しかったり新鮮だったり。その現場が舞台じゃなくてドラマだから、ここでどういう風に作っていこうかとか。僕もそうですけど、周りのみんなも挑戦していく気持ちで目指してやっていっています」(小越)

■舞台と同じく、熱量や汗を大事に演じる!

「『弱虫ペダル』という作品の見どころはたくさんあるんですけど、高校生が一回一回のレース、勝負にかけている気持ち、表情、思い、熱さというのがすごいなと思います。舞台でもすごい熱量であったり汗、全力感を大事にしてきたんですけど、映像でも伝わるものですし。今回、初めてロードレーサーに乗って、こんなにつらいものなんだなと。本当に離されたら追いつくのも大変だし、仲間に引っ張られることの心強さというものも知れたので、そういう絆であったり熱さ、汗をテレビの中からでも伝えられたらなと思います」(小越)

「チームの中でもみんなそれぞれに役割があって、クライマーの方は山岳賞を取りに行ったり、その中でもいろんなドラマがあって、役割もひとつじゃない。みんながいて成り立つチーム感が見どころだと思います」(木村)

「僕はひとりひとりのキャラクターがすごく魅力的だなというのを本を読んで感じまして、負けるために勝負してるわけじゃないじゃないですか。ちょっと嫌だなと思うキャラクターであっても、勝ちたいという貪欲さの中にそれぞれの思いがあるんだっていう、一人一人のエピソードがしっかりしていて、そこを伝えられたらなと思います」(深澤)

■2.5次元から、どんどん世界が広がる!

「2.5次元舞台というものは素晴らしいし、さらに2.5次元の中にも可能性があったり、こんなにも魅力あふれる人がいたり、魅力あふれる作品を作っていけるんだよっていうのを、広げて広げて大きくできたら嬉しいなと思います」(小越)

「2.5次元という空間は、2次元と3次元のはざまで、僕の中では本当に別世界というイメージで。その別の世界を3次元にするとどうなるんだろうという、チャレンジ精神というか、ドキドキとしますし、でも楽しみだなっていうワクワクもしますし。2.5次元しかできないことと、3次元だからできることがあるので、それを出せたらと思っています」(深澤)

「2.5次元では、僕もそうですけど、若手の俳優が出ている中で、なんかこういう映像に出られるというのは、僕らとしては認められた気分ではあります。今までの舞台が認められてなかったわけではないですけど、舞台上は、アニメが好きなお客さんが、本当にこの世界があったのかと一番共感してみてもらえるような場所だったので、それがテレビの中に移ったことによって、また知らないお客さんも見てくれるというのも広がると思いますし、そこで僕らのポテンシャルを見せていけるかっていうのを期待されると思うんで、自分に自信をもって頑張っていきたいと思います」(木村)

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■ドキドキワクワク、真っ白な状態でクランクイン!

 自転車のトレーニングを経て、とうとう取材翌日にクランクインとなるが、今の気持ちを聞くと……。

「その場に立ってみないとわからないことがいっぱいあるんで、今気張って頑張ろうという思いは一度捨てて、真っ白な状態になって迎えたいなって。いっぱいいろんな色に染めていければなと思っています」(木村)

「楽しんでやりたいな。こっちも楽しんでやらないと、自転車が楽しいものだって伝わらないと思うので、こっちが楽しんで、でも熱く勝負をして、伝わるようにやれたらなと思います」(深澤)

「すごくドキドキワクワクしている裏で、いろんな気持ちが混ざっているんですけど、自分を信じて周りを信じて、みんなに支えてもらいながら、しっかり一つの作品を作り上げて、ドラマの良さをたくさん届けていけたらと思います」(小越)

 自転車に乗るシーンの監修をしている、スポーツバイク専門店「Y's ROAD」の方によると、キャストは自転車に乗るトレーニングに真剣に取り組んでいるそう。ローラー(練習に使う器具)に乗るのは難しいものだけど、落ちたりしながら、一生懸命頑張っているという。

 特に、今泉俊輔役の木村が本当に乗るのがうまくて、「あ、今泉が乗ってる!」と思うくらいだとか。一部の自転車はオリジナルで組んでいて、世界で一台しかないものもあり、「自転車に詳しい人が見ても、本物に見えるようにしていきたい」と、熱く語ってくれた。

撮影/廣瀬靖士

<放送概要>

BSスカパー! オリジナル連続ドラマ「弱虫ペダル」(2016年8月~放送予定)

チャンネル/BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス585)

公式サイト/http://www.bs-sptv.com/yowapeda/

7月29日(金)21時~22時、事前特番を放送予定