「炒め野菜に発がん性物質のリスクあり」という最新研究が内閣府より発表された。実は、栄養たっぷりの野菜であっても、調理法次第で毒にもクスリにも変わってしまう。

「がんの原因は4割が食事といわれます。1度、がんにかかり手術をしても生活習慣が原因ですから、体質を改善しない限り再発しやすい。食事療法を導入することは、自己の免疫機能を高めて、がんの病態を改善する、もっとも重要な方法です」

 こう語るのは、外科医として40年以上にわたり、がん治療に携わってきた『西台クリニック』院長・済陽高穂先生。手術、化学療法、放射線療法などと併用して食事療法を取り入れることで、6割以上の患者を治癒改善に導いてきた。

 急速な高齢化が進む日本では、がんは、2人に1人がかかる国民病。一方でライフスタイルや食習慣の変化により、若くしてがんになる人も最近は目立つ。

「あらゆる病気の根源は、体内で発生する活性酸素にあります。活性酸素は本来ならウイルスや細菌を退治してくれますが、過剰な運動や紫外線、ストレスや飲酒・喫煙によって大量に発生すると細胞や器官をさびつかせ、毒素となって身体を傷つける。それがDNAにも及べば、がんになってしまう」(済陽先生)

 逆に考えれば、抗酸化作用のある食事で活性酸素を除去し、人が本来持っている生体防衛機能を高めれば、損傷したDNAを修復できるという。

「食品添加物にもさまざまな種類がありますが、特に注意したいのは、いくらやたらこ、ハムなどの加工品に多く含まれる亜硝酸ナトリウム。肉類に含まれるアミンと結びつくと、発がん物質であるニトロソアミンに変わる危険性があります。

 外国産のオレンジやグレープフルーツに添加されている防カビ剤も、動物実験で発がん性が確認されているため、なるべく国産のものを選ぶこと。冷凍エビやカット野菜、パック入りサラダなどに含まれる漂白剤もおすすめできません」

 塩の過剰摂取にも注意が必要、と済陽先生。塩に含まれる塩化ナトリウムが胃袋を荒らし、ピロリ菌を増やして胃がんを誘発したり、全身の細胞のミネラルバランスを崩せば、さまざまな病気の原因になるのだ。

「料理には、だしの味わいをきかせたり、酢やレモンを加えることで塩を減らす工夫をしてください。また、ナトリウム成分が少ない自然塩や、減塩しょうゆを選ぶ努力も大切です」

 そのほか、牛や豚など、四足歩行の動物の肉類にもリスクが。

「動物性タンパク質は、あらゆる食材のなかでもっとも発がん性が高いとの報告があります。これは、消化吸収の過程で肝臓に過度の負担をかけ、がんに打ち勝つ力を弱めてしまうため。実際、ハーバード大学の調査結果では、牛肉を毎日食べている人は、月に1度しか食べない人よりも2・5倍もがんにかかりやすいという発表があります」

 一方、鶏肉は皮や脂身の少ないむね肉、ささみなどを選び、量を抑えればOK。

「魚では、マグロやカツオなどの赤身魚は赤色の成分であるミオグロビンが酸化しやすいため、食べすぎに注意する必要があります」