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 今年1月、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に衝撃的な論文が掲載された。米国スタンフォード大学の研究によると、女性が食物繊維の少ない食事をしていると、子どもの腸内環境が悪くなり、孫では悪玉菌ゴッソリの“最悪の腸”になり、そのまま、ひ孫にまで受け継がれるという。

 ここまでくると、子どもや孫たちがヨーグルトを食べても、必死に食物繊維をとっても改善はされないそうだ。

 ご存じのとおり、腸内環境が悪いと健康被害が大きい。肥満、肌あれ、イライラ、生活習慣病や大腸がんなど命の危険にかかわる病気にもつながる。

 近年はアレルギーや免疫力なども関係があると言われている。ただし、厚生労働省が推奨する食物繊維の摂取量は成人男性が1日20g、成人女性が1日18gなのだが、圧倒的に足りていないという。

「国民健康・栄養調査によると、男女とも平均して約14gしか食物繊維をとっていないことがわかっています。1955年には22gとれていましたが、その後は大幅に足りていない状況が続いています」

 教えてくれたのは、食物繊維に詳しい大妻女子大学家政学部食物学科教授、青江誠一郎先生。食物繊維が足りないと自分の健康を害するだけでなく、子孫にまで影響するなんて、いったいどういうこと?

「赤ちゃんは無菌の状態で生まれてきます。母親の産道を通り、母乳を与えることで、母親の腸内環境がそのまま受け継がれます」

 つまり、ファストフードやお菓子ばかり食べて不摂生をしている母親は責任重大。

「腸内細菌の種類と、それぞれの数のバランスによって腸内環境が決まります。菌の種類が少なくなると、腸内環境はどんどん悪くなります」

 仮に母親の腸の中に『織田家』『豊臣家』『徳川家』『真田家』の4つの家柄の善玉菌がいたとする。それぞれ多数いれば、4つの家督は受け継がれていく。

 しかし、『織田』が1人しかいなかったら、子どものお腹で『織田家』は滅亡する。さらに、その子どものお腹の『豊臣』が1人だったら、孫のお腹の中には『徳川家』と『真田家』だけになってしまう。

「大切なのは菌の多様性です。菌の種類が多ければ多いほど、悪玉菌を抑え、良好なバランスが保たれます」