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 今年1月、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に衝撃的な論文が掲載された。米国スタンフォード大学の研究によると、女性が食物繊維の少ない食事をしていると、子どもの腸内環境が悪くなり、孫では悪玉菌ゴッソリの“最悪の腸”になり、そのまま、ひ孫にまで受け継がれるという。

 食物繊維に詳しい大妻女子大学家政学部食物学科教授、青江誠一郎先生に聞いてみた。

 同じごはんでも食べ方によって、食物繊維の量が変わるという。実は、ごはんは冷やすと発酵性食物繊維が増えるというのだ。

「先ほどの不溶性食物繊維の一部に、発酵する食物繊維があるというお話をしましたが、まさにそれが“冷えたごはん”に含まれているのです」

 米など穀類に含まれるでんぷんは、炊くことで分解されるが、冷えると再びでんぷんが結晶化して、消化されない食物繊維が増える。でんぷんは不溶性食物繊維であるが、腸内細菌が利用できる性質があるのだ。

「炊きたてのごはんに比べて、1~2%発酵性食物繊維が増えます。食物繊維のことを考えると、冷めたおにぎりは最適ですよ」

 さらに大豆、海藻、ネバネバ野菜、温州みかん、りんごをプラスすると最強に。

「雑穀米と納豆はベストコンビネーションです。両方とも発酵性食物繊維の宝庫です」

 青江先生のおすすめは、ひじきと枝豆の雑穀ごはんおにぎり、ワカメのみそ汁、山芋やオクラのサラダだ。

「海藻の食物繊維を善玉菌が食べるのは日本人だけです。日本は古来、海藻を食べる習慣があるので、日本人だけに、海藻の食物繊維を利用できる腸内細菌がいるのです」

 それを利用しない手はない。いも類にも発酵性食物繊維を多く含むものがある。

「じゃがいもには、もともと発酵性食物繊維が含まれていますが、冷やすとごはんと同じく発酵性食物繊維が増えます。温かいものより5~15%ほど増えるので、じゃがいもを食べるなら、ポテトサラダがおすすめですね」

 野菜は生がいちばんいいと思いがちだが、食物繊維に着目すると火を通したものがおすすめだという。

「火を通すことでやわらかくなり、利用しやすい食物繊維になります。生野菜はビタミンやミネラルを含むので健康維持には必要ですが、生野菜で食物繊維をとろうと頑張ることはありません」

 食物繊維はとりすぎを気にすることはなく、穀物で発酵性食物繊維をとっていれば、おかずの食物繊維の種類は気にしなくてもいい。

「最近、糖質オフダイエットが流行っているので心配です。砂糖のとりすぎはさまざまな悪影響があるので少なくしたほうがいいですが、穀物をとらないと大幅に食物繊維不足になります」