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 今、お菓子のラムネにすごいリカバリー効果があると話題を集めている。注目されているのは、その主原料であるブトウ糖の効果。これからの季節には特に助かる、即効性と安全性も高い成分。

 ネットを中心に「二日酔いに効く」「頭がシャキッとする」などと、さまざまな健康効果が話題になり、非常に売れているのだとか。

「ブドウ糖の役割は、医学部で最初に習う基本的なことですが、ラムネが流行っているとは知らず、驚きました」(老年病科医の岡本宗史先生)

 東京大学医系大学院加齢医学講座に所属。2016年に社団法人「医信」の代表理事に就任、メディカルリテラシーをテーマとした啓発活動を展開している。

 身体に欠かすことができないというブドウ糖。どういうもので、何に効くのかを岡本先生に教えてもらった。

「人間の身体に必要な三大栄養素といえば、糖質、脂質、タンパク質です。糖質は、単糖類、二糖類、多糖類に分かれますが、ブドウ糖は単糖類で分子が小さいため、そのまま小腸で吸収されます。そのため身体のエネルギー源としてすぐ変換され、血糖値を上昇させたり、脳にエネルギーを運ぶなど他の糖類より即効性があるのです」

 ブドウ糖が欠乏すると命の危険に関わることも。

「糖尿病の患者さんは、血糖値を安定させることが重要ですが、血糖を下げる薬やインスリンの副作用で低血糖に陥ることがあります。低血糖で意識障害を起こすと命の危険に関わるので、糖尿病の患者さんは常にブドウ糖を常備し、症状を感じたらすぐにブドウ糖をとる必要があるのです。

 最近は糖質制限ダイエットをしている人も少なくないですが、極端に糖質をとらないでいると、脂質が代謝されることで血中にケトン体という物質が増え、身体が酸性に傾いて意識障害に陥る可能性も否定はできません。

 また、アルツハイマー型の認知症では、脳にブドウ糖を上手に取り込めなくなり、脳が機能できなくなってしまうことがわかっています」

 いっぽう、ブドウ糖を積極的に取り入れることで、病気予防やパフォーマンスのアップにもつながるのだとか。

「僕も頭をスッキリさせたいときには、意識的に甘いものをとります。また、ブドウ糖は熱中症や二日酔いにも効果があり頭をスッキリさせたいときやスポーツ時、ダイエットにもおすすめです」

 ちなみにブドウ糖という名前の由来は、糖を研究していた科学者がブドウを使って研究していたとか、熟したブドウ果汁に多く含まれるからなど諸説ある。

イラスト/ちんぱん