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 実話を基に描いたドラマ『ぼくのいのち~生存率0%の病と闘った、ある家族の物語。』(日本テレビ系 3月23日・水曜夜9時~)。

 夫婦と3人の息子。幸せな家族を突然襲ったのは、次男の病気だった。100万人に1人というがんの一種「肝芽腫」にかかり、闘病生活が始まる。

 あまりにも非情な現実だが、家族は「どんなことがあってもあきらめない」と心に誓う。そして最後まで希望を捨てずに、全員で病気に立ち向かっていく。

「企画当初から子どもが苦しんでいる姿をたくさん見せる、いわゆる“難病もの”にしたくないと思っていました。闘病中の生活でも、家族が笑っている瞬間はあったし、夫婦ゲンカだってあるんです。 本作では、そんな家族の日常を描いているので、ホームドラマのようにご覧いただけると思います」(読売テレビ・汐口武史プロデューサー)

 実話を基にした物語で、汐口プロデューサーはじめ制作スタッフは何度も家族に会って闘病中のさまざまなエピソードを取材したという。

「“病気と闘っている方に勇気を持ってほしい”と、ドキュメンタリーや医療系の雑誌に手記を発表した、ご家族の気持ちに加えて、健康な方、子どものいない世代の方にも“家族と笑顔と命の大切さ”をお伝えできる作品を目指しました」(汐口プロデューサー)

 実際の家族からは、当時の映像提供など、全面的な協力を得たほか、撮影現場を訪れて、母親役の木村佳乃、父親役の北村一輝と対面、話をしている。

「フィクションを交えて作っているのですが、最終的には仕上がりに納得していただけて、安心しました。また、お母さん方向けの試写会では“子どもにも見せたい”“涙が止まらなかった”とのお声を多くいただき、心に届く作品になったのを実感しています」(汐口プロデューサー)

 病気と闘っている家族の苦しみ、つらさも描かれているけれど、決して暗いタッチではない。実際の闘病記に脚色を加えているというが、汐口プロデューサーの悩みは意外なところに。

「例えば“肝芽腫”と闘う次男の祐平(横山歩)が、ICUで(志村けんのギャグ)“アイーン”をするシーンや、病室に1個ずつおもちゃを置いていくというのも、手術前に祐平が幼稚園の運動会で走ったのも、母親が、医師に驚かれる提案をするのも、すべて実話です。まるで脚色したかのように思われそうですが、実話に基づいたエピソードです」

 両親役の木村、北村は、制作スタッフの意向と同様、リアルな夫婦に見えるようにこだわったそう。

「撮影初日のスタンバイ中、ちょっと離れたところで2人でお話しされていたんです。過剰な演技を入れず、ナチュラルでリアルな夫婦に見せようと話していたそうです。その姿に、僕らは安心して撮影に臨めました」

 リアリティーへのこだわりは、自らも2児の母である木村が、子どもを抱く仕草や、わが子に向ける眼差しなどにも表れている。

「お母さんの衣装やメーク、赤ちゃんの抱っこひも、出産直後に起き上がる角度などのディテールは、木村さんからご指摘いただいた点を取り入れています」

 物語では、祐平の肝臓移植が成功し、1度は、家族に平穏が戻ってくる。しかしその後、さらなる危機に直面する。

「この家族は最初から強かったのではありません。大きな困難にぶつかったことで、強くなれたという究極の形かなと思います。ご覧になった方には、今の家族を見直したり、家族を持つということについて考えたりするきっかけにしていただけたらうれしいです」