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『結婚の儀』で、おすべらかしに十二単の雅子さま。今回もこれに近い装束で('93年6月)

 4月3日に、没後2600年といわれる初代天皇の神武天皇陵を参拝するため、奈良県を訪問される予定だった天皇・皇后両陛下。

「両陛下の地方行幸啓に、ほかの皇族方が同行されるのは異例ですが、初代とされる神武天皇の慰霊ということで特例だったのかもしれません。

 今回は、秋篠宮ご夫妻が両陛下に同行され、皇太子ご夫妻は東京に残り、宮中祭祀の『神武天皇二千六百年式年祭の儀・皇霊殿の儀』に臨まれることになっていました」(宮内庁担当記者)

 両陛下と秋篠宮ご夫妻が不在のなか、皇太子ご夫妻のほかにも、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまや各宮家の女性皇族方も参列されることになっていた今回の祭祀。

 宮中祭祀は、そもそも国家の安寧や五穀豊穣を祈り、皇室の祖先を祀る伝統行事で、戦後は天皇家の私的行為として行われてきた。

 皇居の鬱蒼とした森のなかにある、「賢所」「神殿」「皇霊殿」からなる「宮中三殿」で行われる儀式だが、

「ほかの皇族方は基本的に洋装で、皇霊殿の階段の下から拝礼されるだけで、皇太子ご夫妻とは大きな違いがあります」

 と、今回の儀式について説明するのは、皇室制度史に詳しい京都産業大学名誉教授の所功さん。

「皇太子さまは、宮中三殿の奥にある綾綺殿で着替えなどをした後、廊下づたいに三殿のひとつである皇霊殿へ移動して内陣に進み、拝礼してから、神武天皇への御告文を読まれます。

 ついで皇太子妃の雅子さまが皇霊殿の内陣に進み、拝礼をされますが、その時間は短いので、それほど負担感はないと思われます」

 所さんはそう説明するが、雅子さまは長期療養が始まってから、宮中祭祀にほとんどご出席していない。この13年近く、年に14回ある祭祀はほぼ欠席されている。

 皇室記者が説明する。

「直近は'09年1月に行われた『昭和天皇二十年式年祭の儀・皇霊殿の儀』で、このときは両陛下が武蔵陵墓地を訪問されたので、皇太子ご夫妻が皇霊殿で拝礼されることになりました。その前は、'03年9月の『秋季皇霊祭の儀・秋季神殿祭の儀』です。

 今回は、両陛下のご名代という意味合いもあり、ほかの皇族方も多く参加されるので、雅子さまにとっては、かなり重圧になったはずです」

 皇后美智子さまは'13年のお誕生日の際の文書回答で宮中祭祀について、

「最近は身体的な困難から、以前のように年間すべてのお祀りに出席することはできなくなりました」「前の御代からお受けしたものを、精いっぱい次の時代まで運ぶ者でありたいと願っています」

 と、その過酷さと、伝承の大切さを吐露されている。

 7年前の祭祀のときに、雅子さまは東宮職のスタッフや主治医と何度も打ち合わせを重ねて体調を整え、“本番”に臨まれたという。

 雅子さまが祭祀になかなか参加が叶わない原因を、前出の所さんが続ける。

「雅子さまの場合、古式の髪型や装束の準備に相当なご苦労があるといわれています。

 十二単の重い装束をお召しになりますが、それ以上におすべらかしと呼ばれる髪型は、匂いの強い油で髪を整えるのに、かなり長い時間を要するといわれています。療養中の雅子さまにとっては、負担となるかもしれません」