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*写真はイメージです

 北海道から沖縄まで全国60か所にある薬物回復の施設『DARC(ダルク)』。かつて覚せい剤に手を出し、現在はダルクで暮らしている女性に話を聞いた。

「私が初めて覚せい剤を使ったのは、中学3年生のときです。女友達の先輩にドライブへ連れて行ってもらったときにすすめられて、興味本位で使い始めました」

 1度使うとやめることができず、16、17歳のときには薬の売人と付き合うように。

「彼は数十キロ単位の覚せい剤を持っていたので、私はお金を払わずにもらって、注射器で打っていました」

 そのころ、後に夫となる暴力団関係の男とも一緒に暮らしており、2つの家を行き来する生活を送っていたAさん。

「でも、売人と付き合っていることが男にバレて、あるとき男が売人の家に乗り込んで修羅場になったこともありました」

 その後、男と和解し、一緒に暮らしながら覚せい剤を使うようになったという。

「結婚して19歳で長男を産んだのですが、そのときに夫が傷害事件で逮捕されました。それがきっかけで夫は暴力団をやめて、不動産関連の会社を経営し始めました。私もその会社で経理などの事務をし、2人目、3人目の子どもが生まれて、裕福な生活を送っていました」

 妊娠しているとき以外はずっと、夫と覚せい剤を使っていたそうだ。

「4人の子どもを出産しましたが、いちばん下の子が幼稚園に入ったころ、離婚しました。その後、元夫は私の兄に拳銃を発砲する事件を起こし、4年8か月の刑を受けて、いま服役しています」

 Aさんはこれまでに2回、覚せい剤で逮捕されている。

「1回目に逮捕された後は、生活保護を受けながら、いちばん下の息子と暮らしていました。親権は元夫が持っているのですが、慰謝料を請求しないという条件で、私が監護権を持って引き取りました。上の子どもたちはすでに独立して、仕事もしています」

 神奈川県内の「少し歩けば覚せい剤を持っている知り合いや売人がたくさんいた」地域に住んでいたことも影響しているようだ。

「私がお金を出さなくても“あるよ”ってポンと10グラムくらいを平気で渡してくれたんです。1回逮捕されたにもかかわらず、また使い始めて、2回目の逮捕となりました」

 今まで1度もお金を出して覚せい剤を買ったことはないそうだ。

「他人にすすめたこともなく、自分のためだけに使っていました。覚せい剤を使っていた子と話をすると、セックスのときに気持ちいいから、という理由で使うことが多いみたいですが、私は、使ったら頭がシャキッとして、掃除をし始めるんです、部屋の至るところを。料理もするし、お風呂に何回も入っていました。それが習慣になっていました」

 しかし、ある日、息子に覚せい剤を使っているところを見られてしまい、こう言われたという。

「“覚せい剤をやっているお母さんは嫌いだ。今度やったら、オレはお母さんとは住まないし、お母さんの前から消える”と。だから、もう1度、息子と一緒に住むために、覚せい剤は2度とやらないと決めました」

 昨年の2月から今のダルクに入所。

「最初は離脱感がすごくて身体が動きませんでした。イライラするし、覚せい剤をやりたくてしょうがない。楽になりたいと、ずっと思っていました。そのときは、子どもたちに会うことだけが望みでした」

 今も元夫には愛情があると語る。

「でも、私の母親から“今後いっさい会っちゃいけない”と言われているので、連絡はしていません。もし会いたいなら、母親とは親子の縁を切って一緒になるしかない、そういう状態です」

 ダルクに来て、もうすぐ13か月になる。

「ここでの生活を終えたら、友達と2人でスナックをやろうと思っています。母親が以前から飲食店や雀荘などを経営していたので、お店を出すなら手伝うと言ってくれています。自分のお店を持つようになったら、今度こそ覚せい剤を断つ人生を送っていけると思っています」