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 熊本県を中心とする九州地方で14日午後9時26分ごろ、九州では観測史上初めてとなる最大震度7の大きな地震が発生した。国内で震度7を記録したのは'11年3月11日の東日本大震災以来。気になるのは、最近、九州地方で大規模な火山活動が相次いでいたことだ。

 昨年5月29日には鹿児島・口永良部島が大噴火し、全島避難を招いた。同7月30日には鹿児島・トカラ列島の諏訪之瀬島で噴煙1000メートルを観測する噴火があった。

 同8月15日には鹿児島・桜島で1000回を超える火山性地震が発生し、鹿児島市が51世帯に避難勧告を出した。同9月14日には熊本・阿蘇山が2000メートルの噴煙を噴き上げた。

 今年に入ってからも異変は続き、2月5日と8日に桜島が噴火。九州と距離的に近い台湾では同6日にM6.4の内陸直下型地震が発生し、16階建てマンションが倒壊して120人以上が犠牲になった。

 熊本地震との関連性はあるのか。立命館大学の歴史都市防災研究所の高橋学教授は「密接な関係があります」として次のように話す。

「一連の火山爆発も、熊本地震も、引き起こした最大の要因は同じです。太平洋側のフィリピン海プレートが、大陸側のユーラシアプレートを押したんです。その圧力でプレートが割れたときには地震が起こり、プレートの中のマグマだまりが圧縮されて噴き出せば噴火になります」

 高橋教授は『週刊女性』誌上で、九州連発噴火を事前に予測して注意を呼びかけてきた実績がある。熊本地震の4日前、高橋教授から記者あてにメールが届いた。

《南海トラフでのフィリピン海プレートの圧力が増してきています。東日本大震災前の2008年に発生した岩手・宮城内陸地震のようなものが起きるはずです。琉球列島から東海地方の活断層が動くので、西日本全体でとりあえずは内陸直下型地震に気をつける必要があります》

 メールの背景には、三重県南東沖で4月1日にM6.1の地震が発生したことがあった。紀伊半島先端の和歌山県古座川では最大震度4を記録し、山陰地方から甲信越地方まで広範囲で揺れた。

 さらに同10日未明、神戸・六甲山から大阪・茨木を震源とするM4とM3.5の地震が連続発生した。震源と断層の関係から前記メールのような動きが心配されるため、読者に注意喚起してはどうかとうながす内容だった。

「阿蘇山の地下には、大分を通って、愛媛、三重、愛知、長野へと続く国内最大の中央構造線という断層が走っています。熊本地震は巨大南海トラフ地震の前兆といえます。沖縄から東京にかけた広範囲で、連動型の大きな地震に対して警戒が必要です。

 いつプレートが跳ねる地震が起きてもおかしくありません。政府は、30年以内に70%の確率で南海トラフ地震が発生するとしていますが、これはとんでもなく甘い見通しで、ここ2~3年以内に起きる可能性があります。2020年の東京オリンピック開催なんてできるのか、と疑わざるをえないレベルです」

 高橋教授はそう指摘する。