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 思わず“懐かしい!”と叫びたくなる昭和の空気感の中、テレビの中で輝きを放つ黒柳徹子(=満島ひかり)と、全力で支えるスタッフたち。まさに本気で作り上げた60年前のテレビは、夢と刺激でいっぱいだった。無数のルールに縛られる今、誰しもが胸躍らす時代を描いた『トットてれび』(NHK総合・土曜夜8時15分)に魅了され、ハマる人が急増中。

 原作は黒柳のエッセイ『トットひとり』『トットチャンネル』。昭和28年、NHKの専属俳優となった徹子の波瀾万丈の人生を通して、テレビの歴史をひも解いていく。

 注目はキャスティング。「満島さんが私をやってくださるなら」と本人も太鼓判の満島が黒柳を熱演。2人の縁は深く、朝ドラ『おひさま』で満島の役柄の晩年を黒柳が演じたことも。「まさか徹子さんを演じることになるとは」と驚くも連日の撮影を楽しんでいるそう。

 永六輔(新井浩文)や植木等(坪倉由幸)、篠山紀信(青木崇高)など黒柳と親交のあった人たちもゲストキャラで登場。外見は違えど、なぜか本人に見える絶妙な演技は必見だ。

 ほかにも、衣装やセットなど、当時を細部まで忠実に再現。テレビ草創期の愛と熱量にあふれる“トットワールド”を、制作統括の加賀田透プロデューサーに語ってもらった。

■本人が憑依!? 満島がすっかり“徹子脳”に!?

 話し方やたたずまいまでそっくりと評判の満島“徹子”の演技。

「満島さんには、事前に黒柳さんの昔の映像や資料をお渡しして見ていただきました。基本的にはものまねではなく、黒柳さんの持っている本質や精神的なものを表現してほしいとお願いして。難しい作業だったと思います。

 でも、見事なのが満島さんのアドリブを黒柳さんが聞いたとき、“何かいかにも私が言いそうなことね(笑)”と面白がっていただいて。ご本人にそう言っていただくなんて一番じゃないですか。黒柳さん的思考回路にまでなりきって演じられているのは、すごいなって驚きましたね」

■まさにタイムスリップ! セットも忠実に再現  

 どこかレトロなセットに昭和の懐かしい雰囲気が。

「例えば、スタジオのカメラも、NHK放送博物館にある当時の実物を調べて再現しています。また、劇中劇の『若い季節』や『夢であいましょう』のセットも当時の図面を見たり、実際に携わっていたディレクターや美術担当の方にお話を聞いて、かなりリアルに再現しているんです。美術スタッフのこだわりにも注目してご覧ください」

■黒柳徹子100歳、NHKの時報になる!?  

 番組放送開始の8時15分になると、時報とともに100歳になった徹子がドドーンと登場。

「黒柳さんの夢のひとつとして、“100歳になったらNHKの時報に出たい”というのを伺って。それでは、ぜひご登場いただこうと思って取り入れました。

 100歳という設定も黒柳さんのご発想で、普通に出るのでは面白くないからプラスの要素を付け加えたいという思いがあったようなんです。なので、未来から来て、若き日のご自身を見守っているという設定を取り入れさせていただきました」

■心も躍る! ミュージカルは本気のLIVE!!

「ドラマ制作にあたり取材して感じたのは、テレビ草創期の何もないところから番組を作り出すエネルギーのすごさ。それに今できる表現として負けないものをと考え、歌と踊りを取り入れることにしました。今回、『あまちゃん』でも音楽を担当した大友良英さんに全面協力していただいて。

 普通は、先に曲や歌を録音して流すという手法が多いんですが、このドラマでは実際に生バンドで演奏し、それに合わせて歌って踊るスタイルをできるだけやろうということにしたんです。緊張感もあり大変なのですが、ライブの臨場感だったり、熱量が伝わればと思っております」