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 先月から今月にかけ、秋田県の山中で4人の男女がツキノワグマに襲われ落命した。いま日本国内で騒ぎになっているのはツキノワグマだが、凶暴さでは、やはりヒグマだろう。ヒグマによる世紀の大事件とも呼べる惨劇3つを紹介。

 ひとつ目は、1915年12月9日、北海道苫前村三毛別で起こった。飢えた巨大ヒグマが農家を次々と襲撃し、死者7人、重傷者3人。犠牲者の中には妊婦もいた。

 おなかの子をかばって、「腹破らんでくれ!」と叫ぶ母親に襲いかかった野性の牙。無情にも上半身から食い裂かれた妊婦の腹からは、胎児が引きずり出されていた。

 次の悲劇は2011年8月13日、シベリア東部のペトロパブロフスク。父親とキャンプを楽しむ少女(19)の目の前に現れた子連れヒグマは、少女の足に覆いかぶさった。目の前には父親の死体が。

「ママ! クマが私を食べているの! 助けて!」

 携帯電話で母親に電話しながらも下半身はクマに貪られていく。そこで電話はいったん途切れた。

 2度目の通話では、

「ママ。3頭の子グマも……私を食べているわ……」

 3度目の通話では虫の息。

「マ、マ……もう噛まれていないわ……。すごく愛してる」

 それが無残な姿で亡骸と化した少女の最後の言葉だった。

 最後は、2012年4月20日に発生した雪山での事件。

 秋田県鹿角市の八幡平クマ牧場からヒグマ6頭が脱走。追いかけた女性飼育員2名は噛み殺された。射殺されたクマの胃内からは肉片、皮膚、毛髪などが発見された。