“カンチ、セックスしよ”と名セリフが印象的だった『東京ラブストーリー』から25年。『ノンママ白書』(フジテレビ系 土曜夜11時40分~)で、50歳になった鈴木保奈美が、子どもを産まないことを選択した同世代の主人公を演じている。現場では“どこからでも撮りやがれ!(笑)”と、潔く撮影に臨んでいるという鈴木の真意をプロデューサーが解説。

私生活はワーママの保奈美、ノンママのロールモデルに

『ノンママ白書』の鈴木保奈美 (c)東海テレビ

「すてきなホルモンの点滴を受けている気分です」

 そう話した鈴木保奈美。18年ぶりとなる連ドラ主演に加えて、キスシーンもある物語展開に興奮ぎみのよう。

「保奈美さんの大ヒット作『東京ラブストーリー』から25年。変わらず美しい保奈美さんですが、本作ではアラフィフのヒロインをリアルに演じていただいています」と、東海テレビの後藤勝利プロデューサー。

 子どもを産まないという選択をした女性、ノンママを主人公にした制作経緯について、後藤Pはこう語る。

「少子化対策で政府もワーキングマザー(ワーママ)を応援する姿勢です。ワーママが働きやすい環境が整うのは喜ばしい。ですが、産む産まないを女性自らが選択できる世の中のほうがもっと素晴らしいと思うんです。

 現在、マイノリティーであるノンママをヒロインにすることで、今の社会のひずみや抱えている問題が見えてくるのではないかと考えたんです」

 ヒロインの土井玲子を鈴木に決めたのには、こだわりがあった。

「ノンママだけが共感できる作品にはしたくなかったので、実生活では、結婚も出産も経験している方と考えていました。そして、幸せな結婚生活を送っている主婦のロールモデル(手本)“VERY妻”のように、この先、ノンママのロールモデルになってくれるような方と思い、保奈美さんにお願いしたのです」(後藤P)

 広告代理店で働く土井の同期の大野愛美役に菊池桃子、ルポライターの葉山佳代子役に渡辺真起子がともにノンママを演じ、クランクインの1か月前から自主トレで稽古を始めた。

「撮影がスタートしたときには、すでに3人の空気感はできあがっていました。仲のよさは、画面からも伝わってくると思います」

 3人が行きつけのバーで語り合うシーンは、最大の見どころ。

「長いシーンですが、1回で撮っています。言い間違えたり言葉が足りなかったりした部分もそのまま。日常会話でも、噛むことはあるでしょう? だからあえてそのままにしているんです。視聴者のみなさんにはご自分を含め4人で飲んでいる気持ちを味わっていただけたら、うれしいです」

 名前ではなく名字で呼び合うのも、こだわりのひとつ。毎回、スーパーフードを使ったレシピが登場し、鈴木たちも絶賛。公式サイトで紹介されているので、気になる人はチェックを。

アラフィフ女性のリアルを表現するため

 閉経、老眼、シミ、シワ……。アラフィフ女性のリアルな悩みを表現するため、鈴木は撮影で“自分のすべてをさらけ出す”と意気込んでいる。

「女優さんですから、(カメラに映るとき)好きな角度もあると思うのですが、冗談半分に“どこからでも撮りやがれ!”と。可愛らしいんですよ。この言葉で、現場の士気が一気に高まっています」

 ノンママ3人のかけ合いに加え、注目ポイントとしては土井と本城司役を演じる高橋克典との恋の展開。

「大人の恋の物語になっています。保奈美さんがすべてをさらけ出しているように、克典さんもリアルなアラフィフ男を演じきっていますので、ご注目を」

 土井の中間管理職としての葛藤。部下のワーママ(内山理名)との対立の行方はどうなるのか。

「単純にノンママVSワーママにはしていません。どちらの立場にも考えや葛藤があるからです。女性部長の土井に“女のくせに”“子無しにはわからない”など、心ない言葉を投げる男性たちにも、彼らなりの言い分がある。どの登場人物に共感するかは視聴者のみなさん次第です」

 凛とした女性役が多かった鈴木が、ワーママや年下女子、男たちからのいじめにあう役というのは、激レア。ここも隠し見どころになっている。