「なんでだろう~」が大ヒットした'03年当時のテツandトモ。同年のメジャーデビュー曲『なんでだろう~こち亀バージョン~』は、20万枚以上売れた

 青いジャージのトモのギターに合わせ、赤いジャージのテツが両手を交差させながら歌う「なんでだろう~」が大ブレイクしたのは'03年。その年の新語流行語大賞、年間大賞を受賞し、年末の『紅白歌合戦』への出演も果たした。当時は、見ない日がないほどテレビ出演していたふたりだが、最近は……。

トモ「月によっても違いますが、1か月のうち20日間くらいは東京以外での仕事が入っていますね。土日はショッピングセンターのイベントや、いまの時期だと夏祭りへの出演で埋まっていく。平日は、企業さんの何周年パーティーとか、懇親会へゲストで呼んでいただくことが多いです」

テツ「僕たちも呼んでいただけるようになって驚いたんです。企業さんのイベントってこんなにたくさんあるんだって」

 いまや地方イベントの出演などで大忙し。芸人仲間のダンディ坂野が「トモさんは(貯金額が)億超え」と冗談で語ったことが話題となり、報道陣からの質問にトモ本人がまっこうから否定したことがニュースとして取り上げられたことが記憶に新しい。今回もその噂を笑顔で否定しながら“健康で仕事をさせていただけるだけで、ありがたいです”と語る。

テツ「コンビを組んだころからイベントでは、お笑いライブのあとに、まじめな曲(歌謡曲など)を歌うっていうスタンスは変わっていないんですよ」

トモ「先日呼ばれた、ある企業さんの懇親会では、“(お笑いネタより)歌がよかった!”って言っていただけて。よく言われるんです、“CD出せばいいのに”って」

テツ「結構、出させていただいてるんですけどね(笑)」

ヘンなおばさんと思ったら、すごい先生だった

テツandトモ「僕らは“なんでだろう~”があったから、こうやって歌わせていただけている」

 今年4月には、両A面となるシングルでロック演歌の『泥の中の蛍』と、親子三世代で歌える応援歌『おんなじ空の下』をリリース。6月には、NHKみんなの歌『とろろおくらめかぶなっとう』を発売している。

トモ「『泥の中の蛍』『おんなじ空の下』の詞を書いてくださっている渡辺なつみ先生とは、以前、先生が僕らの営業先だったショッピングセンターに突然いらしてからのご縁なんです。これまで、何度か出演した『THE カラオケ バトル』(テレビ東京系)で、ひとりひとり別々に歌ったことがあるんですが、その中の1回を見てくださって“一緒にやりませんか”って。わざわざ来て、声をかけてくださったんです。でも、最初はヘンなおばさんが来たと思いました(笑)」

テツ「怪しいと思いますよね(笑)。たまに“私、詞を書いたんで”って、直接渡されたり、事務所に作品が送られてくることがあるんですよ」

トモ「だから、すぐに調べたところ、作詞で参加されたBoAさんの曲が日本レコード大賞の金賞を何度も受賞されている、すごい先生だったんです(笑)」

 ほかにも安室奈美恵やKARA、2PMなどの作詞を手がける渡辺なつみと、八代亜紀の『舟唄』『雨の慕情』や奥村チヨの『終着駅』などを作曲した浜圭介のゴールデンコンビによるCDは、今作で3枚目。ふたりの歌の実力を評価する浜先生からは、「歌1本でやったらどうか」と言われるのだそう。

トモ「お笑いだけでも、歌だけにしても、成功するのは難しいじゃないですか。面白かったり、歌が上手な人はたくさんいますが、なかなかチャンスがつかめない方が多い。だから、先生は、歌1本に絞れとおっしゃるんだと思います。でも、やめられないですね」

テツ「僕らは“なんでだろう~”があったから、こうやって歌わせていただけている。体力の限界がきて、自然とやめなくちゃいけなくなるかもしれませんが、それまではやりますよ。70代になっても続けている先輩方もいらっしゃるので」

三世代が歌えるヒット曲が欲しい

トモ「二刀流もできなくないことを、証明できたらいいですね。最終的な目標は、芸人としてではなく、歌手としての紅白歌合戦出場! でも、はるか遠い彼方の夢ですが」

テツ「“なんでだろう~”がヒットした当時を知らない、5歳くらいの小さいお子さんが、電車の中で歌っているのを何度も目撃したことがあって。いまだとYouTubeで見て、知っていただいたんですかね。そういう、小さいお子さんから、おじいちゃん、おばあちゃんまで“なんでだろ~”を知って、マネしていただいているのが、本当にうれしいんです。次は、どんなことをしたら、みなさんに喜んでもらえるだろうと考えたときに、“僕らには歌がある!”と思った。三世代で歌っていただけるヒット曲ができたらいいなと」

トモ「4月に出した『おんなじ空の下』と、6月のNHKみんなのうた『とろろおくらめかぶなっとう』が、まさにそれ。幅広い年代の方に歌っていただける、すごくいい曲だと勝手に思っています(笑)」

テツ「あとは、ヒットしたらいいなと」

トモ「来年、デビュー20周年を迎えるんです。もともとテツが目指していた歌手は、いまやらせていただいているので、あとは、僕のやりたかったお芝居も入れて、1か月公演とかできたら、いいですね~。そうなったら、また取材してください」

テツ「そうそう、以前、お世話になったことがあるんですよ。週刊女性さんに」

トモ「何度もお世話になっていますけど、1度は、テツを見張っていてくださったことがあったみたいで(笑)」
(※結婚前、現在の奥様とお付き合いされていたときに週刊女性の記者が取材)

テツ「(張られているって)まったく、わからなかったです。いま、同じことをされても、全然やましいことはないですから、どうぞ、いらしてください。逆に作って載せてもらったほうがいいのかな? そうじゃないな(笑)」

トモ「騒がれるほうが、活躍しているってことでいいのかもしれないですね。でも今度は、歌でがいいです。大ヒットしたの“なんでだろう~”って(笑)」