「カッコよく見せようという欲がなくなりました」と語る沢村一樹 撮影/高梨俊浩

「ろうそくが火の消える寸前に輝きを増す、ってあるじゃないですか。今はそんな心境ですね(笑)」

 来年“大台”の50歳を迎える沢村一樹。“五十にして天命を知る”というけど、節目の年をどう過ごしたいか、語ってもらいました。

「20代や30代のときは、50歳をすぎたらガツガツ仕事をしないで、のんびりやっていけたらいいなと思っていたんです。でもいざ目前になったら、まるっきり逆で(笑)。がむしゃらに働きたいと思うようになりましたね。

 たぶん、僕の中にある役者としてのイメージが、50代にいろいろなことができるのかな、って」

 20歳で鹿児島から上京し、ファッションモデルとして活躍。正統派二枚目俳優として注目される一方、NHKのバラエティー『サラリーマンNEO』で演じた“セクスィー部長”ではっちゃけた面を見せたり、下ネタ好きで“エロ男爵”と呼ばれたり……。

「プライベートで結婚して子どももできてということも含めて、いろんなことが役者という仕事に反映されているな、と感じているんです。あと、年をとると楽になる部分があるんですよ。“ここはカッコよく見せよう”という欲もなくなってきますし(笑)。

 髪に白いものや、顔にしわが増えても50歳だからできる役ってあるじゃないですか。カッコよく見せなくていいや、となると思い切りできるし、年とった自分を楽しめる気がしています(笑)」

 最近流行りのアンチエイジングには興味がないと笑うが、身体のメンテナンスには気をつけているそうで、

「自分があと何年、健康で身体を動かせるか、現場に足を運べるのかと考えました。ですから、今年から大好きなお酒の量をひかえるようになりました。今までは明日が休み、となると何も考えず長い時間飲んでいましたけど、これからはお酒を長く上手に楽しめるように、自分なりにいろいろ向き合っていきたいです。

 50歳になっても“乾杯!”って、楽しく言えるような自分でありたいですね」

「ちょっと変わったドラマです」

 10月9日から始まるドラマ『レンタル救世主』(日本テレビ系 毎週日曜22時30分~、初回22時スタート)で演じるのは救世主。借金を背負った主人公・悠五(沢村一樹)が、藁をもつかむ思いで入社したのが『レンタル救世主』という看板を掲げた“何でも屋”だという。

「レンタルできる救世主というのがどれくらいなものか、というのもありますが(笑)、ちょっと変わったドラマです」

 もし、何でもレンタルできるなら、何をレンタルしたいですか?

「それは誌面で書ける範囲で? 冗談です(笑)。免許は持っていないけど、クルーザーですかね。気の置けない仲間と海の上で“ワーッ!”って楽しんでみたいですね」

 ドラマの主人公は、簡単に人を信じて借金の連帯保証人になっちゃったけど、知り合いからの借金のお願い、自分ならどうします?

「僕はまず奥さんに相談します。どう思う? って相談している時点でお金を貸す気があるんですけど。まあ、貸しても絶対に返ってこないだろうから(笑)、お金とは違う面で援助します、と話すとは思いますが。実は、過去に何回かそういう経験をしているんです。そんなに大きな金額ではないけど、何人かにお金を貸したことがありますよ。なかなか返ってこないですよね(笑)」