問い直される「若き血」の使い道
女子アナの登竜門ともいわれる“ミス慶應”を企画・運営している、慶應義塾大学の“広告学研究会”。未成年が飲酒をしたとして、その解散命令が下され、ミス慶應も中止されることが明らかとなった矢先、団体に属する男子学生たちによる1年生女子への集団での乱暴が行なわれていたことを週刊文春と週刊新潮が報じた。相次ぐ学生たちによる不祥事を受け、その原因についてフィフィが指摘する。

「大学側ははっきりとした姿勢を見せるべき」

 集団での乱暴に関して、慶應大学側は公式サイトで「事件性が確認されるような場合には、捜査等の推移を見守りつつ、厳正な対処を行う」と発表しただけで、事件性を確認するには至らなかったと言っています。

 いまは入学説明会を行なっている時期だし、大学側としてもセンシティブになっているのはわかるけど、事件を有耶無耶にしようとはしない方がいいんじゃないかと思う。

 “慶應ボーイ”という言葉もあるほど、慶應は幼稚舎から入ってくるボンボンの子たちがいることもあって、世間はどうしてもお金持ちというイメージを持ちがち。折しも2016年は、東京大学の男子学生たちによる女子大学生への集団乱暴が問題となったばかりでしょ。東大はすぐに明らかとなって逮捕に至ったのに、慶應はいつまでも不明瞭なままとなれば、その慶應ブランドゆえ、金銭で事件を揉み消そうとしているのでは…といった憶測さえ呼んでしまうことになりかねない。

 大事な時期であることはわかる。でも、事件の有無に関わらず、ここまで大事になった以上、大学側は公式サイトで見解を発表するだけではなく、ちゃんと会見をするなりして、自分たちの姿勢を世間に対して説明をしたほうが印象がいいと思いますよ。

相次ぐ不祥事…その根本的な原因とは

 では、なぜこうした不祥事が起こってしまったのか。今回の広告学研究会における、根本的な要因は、やはり“ミスコン”の存在だよね。

 ミスコンの会場には、事務所の人やテレビ局の人など、芸能関係者が来ているという話をよく耳にします。とくに有名私立大学ともなれば、女の子もたくさん寄ってきて、スカウトにとっては好都合。そのため、若い子を集められるサークルや団体には、裏に企業がついてスポンサーとなるわけ。

 そしてその延長線上に、派手な打ち上げや飲み会が催されるであろうこと、浮かれて羽目を外してしまうであろう学生たちの姿を見ることは想像に難くないよね。この構図に、オーガナイザーと組み、2000年代初頭に問題となった早稲田大学のスーパーフリーの姿を思い出す人もいるかもしれない。

 とにかく、こうした学生団体に企業が入ってくることによって、学生たちは大人たちのビジネスに利用されているにも関わらず、自分たちが人やお金を大きく動かしていると錯覚してしまう。その結果、プチ起業家のごとく振る舞い、調子に乗ってしまうところが少なからずあるはず。相次ぐ不祥事の根本的な原因は、まずそこにあるんだと思うよ。

 そもそも、ミスコン自体がいまのご時世に必要なのかという議論もあります。これが学ぶ場である大学のなかで決める必要があるのかと。

 そして重要なのは、未成年の飲酒にしろ集団乱暴にしろ、結局は個人のモラルの問題なんだということ。いくら取り締まろうが何しようが、やるやつはやるし、ダメなやつはダメ。

 だから、女の子たちも自分自身で警戒しないとダメだよ。相手は同じ大学内、大学生同士だからといって気を許すんじゃなく、なかにはモラルの低い学生もいるんだということをしっかり認識しておかなければならないと思うよ。

《構成・文/岸沙織》