女優・野際陽子は2年前に早期の肺がんを患い、昨年4月に再発したという。「現在はとても明るく、元気に過ごしています」と事務所がコメントしたとおり、現在はドラマ出演を果たしている。

 また、『あさイチ』でおなじみの柳澤秀夫NHK解説委員も'07年に肺がんで『ニュースウォッチ9』を降板。約1年療養したと告白している。

 “肺がん=死”のイメージは根強い。治療は進化しているのだろうか?

「肺がんは年間13万人がかかり、7万人が亡くなっています。がんによる死亡では第1位(男性1位、女性2位)です。胃がんや大腸がんよりかかる数は少ないのに、死亡者数がトップなのは治りにくいがんであることを意味しています

 とは、産業医科大学の田中文啓先生。

 肺は身体の奥にあるため見つけにくく、さらに進行が早いため、治療成績が悪いという。

 

「がんは遺伝子の損傷によって発生しますが、細胞や傷つき方が異なると種類が違うがんになります。治療は、がんの種類によって変わります」

 肺がんは、“小細胞がん”と“非小細胞がん”に大きく分けられる。

「小細胞がんは、タチの悪いがんで進行が早く転移しやすい。肺がん全体の10%を占め、薬物治療を中心とした治療を行います」

 非小細胞がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんに分けられ、可能であれば手術を考慮する。

「肺は5つの肺葉と呼ばれる“ふくろ”に分かれています。肺葉はおおむね最大3つまで切除できます。ただ、高齢者や体力のない人は、肺葉の一部を切り取る縮小手術になります」

免疫チェックポイント阻害剤とは

 近年、画期的に変わったのは薬物療法だ。

「薬物療法には3つあります。元気な細胞も殺してしまう細胞障害性薬剤、いわゆる抗がん剤ですね。そして、がん細胞に特徴的な“変化”を攻撃する分子標的治療薬が'00年以降に登場しました。さらに'14年には、免疫チェックポイント阻害剤が登場しました

 免疫チェックポイント阻害剤は、オプジーボといわれる、話題の高額治療薬。今年から肺がんのうち、非小細胞肺がんに保険適用されることになった。

「肺がんの原因で一番大きいのは喫煙です。肺がんになりたくなければ、タバコをやめるとともに、吸っている人の近くに行かないことです」

<この先生に聞きました>
田中文啓先生
産業医科大学医学部第2外科教授。専門は肺がんや胸部腫瘍(胸膜中皮腫を含む)などの呼吸器外科。遺伝子解析を含む最新技術を駆使し、手術を中心とした治療を行っている。メディア出演も多数。