学校給食費の未納問題をめぐって全国の公立小・中学校が対応を迫られている。たとえば、大阪市や東京・練馬区のように弁護士を使った「取り立て」を行う学校がある一方で、栃木・大田原市のように「無料化」を推進する学校も。給食の完全無料化に意欲を燃やす社民党の福島瑞穂副党首に話を聞いた。
福島瑞穂・副党首

─なぜ無料にしたいんですか。

「夏休みにやせてしまう子どもがいます。学校給食を食べられないからです。育ちざかりの子どもにとって食事は大事です。いまは子ども食堂が全国に広がっていて、もちろんそれも大事だと思っています。

 私の友達もやっていますし、子どもたちの居場所や食事のできる場所があるのは望ましい。でも、そこで救済できるのは10人とか20人とか、あるいは月に何回とか限界がありますよね。政治が子どもたちの食事を守らないといけないと思うんです」

─無料にする範囲は?

「全国の国公私立の小・中学校すべてで無料化したい。憲法には義務教育は無償とすると書いてあります。約4227億円あれば実現できます」

─金額の根拠と財源を教えてください。

「公立小学校における平均給食費は年額約4万6930円です。国公立と私立をあわせた児童数は全国で約660万人で、そのうち95・6万人は就学援助などにより給食費の支払いを免除されているので差し引き、平均給食費をかけると約2648億円になります。

 一方、公立中学校における平均給食費は年額約5万3702円で、小学校と同じように算出した生徒数をかけあわせると約1579億円です。

 小・中を足して約4227億円になります。多額といえば多額だけれど、累進課税の強化や、タックスヘイブンに流れている何十兆円というお金に国際連帯取引税をかけ、税収を増やせばいい」

小学校の給食で配られた脱脂粉乳。栄養不足の子どもたちにユニセフが援助した=1949年

─どこから手をつけますか。

「中学校で完全給食を実現することから始めたい。親にお弁当を作ってもらえないから昼食時に教室からいなくなっちゃうとか、給食費を払っていないからおかわりができないとか、そういうことが起きないようにと思っています。

 シングルマザーの家庭が増え、生活に困窮していることを言えない保護者もいる。就学援助を知らない人や、恥ずかしく思ってもらわない人もいます。みんなで同じものを“おいしい、おいしい”と食べるのは楽しいじゃないですか。給食が楽しみで学校に行くというのでいいじゃないですか」

─貧困対策ですね。

「それだけではありません。子育て支援になると思うんです。平均年収が400万円の家庭で、私立高校と公立中学に通う子どもがいる場合、税金や授業料を引いていくと可処分所得は200万円を切ります。子育てにお金がかかるのは少子化の要因のひとつ。所得で線引きするとボーダーラインが生じるので一律無料とすべきです」

─ご自身の給食の思い出は何かありますか。

「みんなでワイワイ食べたなあ〜。男の子が鼻から牛乳を出したりね(笑)。笑い転げちゃった。私はクジラ肉やスパゲティが好きでした。給食当番で三角巾にエプロンをつけて、6年生が1年生のクラスに行ったり。学校を休んだ子がいると、給食のコッペパンを届けに行ったことも覚えています。もったいないということだったんでしょう」

─給食無料化へ意気込みを。

「無料化を成し遂げた自治体があります。韓国のソウル市も実現しています。党派を超えてそうした情報を共有し、勉強会を開いたり、国会でも呼びかけていきたい。がんばります!」