『ゲス不倫』や『都民ファースト』など30語が発表されたばかり
今年も残すところ40日を切ったが、11月17日、毎年恒例の『流行語大賞』の候補が発表された。ノミネートされたのは30語。今年は年頭から芸能ニュースが大乱舞。またオリンピックが開催され、新しい都知事も誕生するなど、話題が豊富な年だった。それだけに耳に残る言葉も多い。はたして大賞はどの言葉になるのか―。

 '84年から始まった『新語・流行語大賞』は、今年で実に33回目を迎える。

「当初は新語部門と流行語部門に分かれていて、それぞれ金賞が大賞で、それに続く各賞が選ばれていましたが、'91年の8回目から年間大賞が設けられ、'94年の11回目からは両部門を合わせて選定されるようになりました」(大手広告代理店社員)

 ということで、今年も30語がノミネートされた。その中でいったいどの言葉が大賞を獲得するか、有識者2人に占ってもらうことに。

『日経エンタテインメント』編集委員の品田英雄氏は、

『都民ファースト』と『PPAP』です。『都民〜』に関していうなら、今回、小池百合子都知事関連の言葉が4語入っていまして、その中でこれを選んだのは、知事の都合も考えて表彰式に出席しやすいんじゃないかと思うからです(笑)。

 ぜひ出席してもらいたいですね。『PPAP』はネットを通じて世界中に配信されているので、世界レベルの流行語と思って選びました」

 コラムニストのペリー荻野さんが選んだのは、

「インパクトの強さからいっても、また息の長さからいってもやっぱり『ゲス不倫』でしょうね。1回で終わると思ったのですが、最近になってもまだ取りざたされていて、意外と引っ張るんだなと思いました。

 それに伴っていろいろ不倫騒動がありました。これが今年を象徴するのはどうかと思いますけど、波及効果はありましたね」

 今年ノミネートされた流行語の背景について、品田氏はこう語っている。

「今年は4年に1度のオリンピックイヤーです。本来であれば、オリンピックで活躍した選手が発した名言が選ばれるのが恒例です。'04年に大賞を獲得した北島康介選手が発した“チョー気持ちいい”みたいな言葉です。

 明るい話題だし、表彰式も盛り上がるはずなんですが。今年はそれ以上にトランプ大統領や東京都の問題など政治がらみのものに加えて、『文春砲』をはじめとするスキャンダルが多く、本来であるなら選ばれるはずの言葉がかすんでしまった印象がありますね

 たしかに、今年の30語の中にはオリンピック関連の言葉は『タカマツペア』だけ。選手が発した印象に残る名言も見当たらず、これについてペリーさんは、

オリンピック出場選手の中に強烈なキャラクターを持った人が出てこなかったということもあるんですが、今年は発言に対する炎上が多かったと思います。だから今、みんなが発言に対して慎重になっているような気がします。

 ちょっと自分のことを言っても叩かれたりしますからね。インパクトのある言葉を発すると、計算してるとか売名だとか言われるから、流行語を発信しにくい窮屈な世の中になっています。アスリートの人たちも同様で、とても慎重になっていて、流行語になるような面白い言葉を発信しにくいんだと思います

 そして、2人がほかに気になった言葉はというと、『君の名は。』と、それにも関係がある『聖地巡礼』。

私は流行語ではないと思うのですが、『シン・ゴジラ』や『びっくりぽん』(朝ドラ『あさが来た』)のようにエンターテイメント系のヒットがたくさんありましたね。それらが話題になって、さらに大きな流行やヒットになることが今年はけっこう多くて、ウキウキした元気な年でもありました」(品田氏)

 ペリーさんは、

「ドラマに出てきたお店を巡るとか『君の名は。』のロケ地を巡るというのは、どこか内向きなんですよね。

 自分で新しいモノを探すのではなく、見てきたモノを確認し、それをSNSで発信し、友達同士で共有して喜び合うというのは、内向き志向で、それが悪いことではないんだけど、今の時代の傾向を表していると思います。

 ものすごくエネルギッシュで大胆で、大ヒットを打ったとかいうような野心を感じられる言葉があまり多くないような気がします」

長生きする?

 まさに、流行語が世相を反映している。『流行語大賞』といえば最近は必ずノミネートされる“お笑い芸人”。今年は『PPAP』(ピコ太郎)と『斎藤さんだぞ』(トレンディエンジェル)の2組が入っているが、“大賞に選ばれてしまうと、翌年には消える”というジンクスがある。ちょっと心配ではあるものの、

「この2人は、ワンフレーズの一発屋ではないんです。『PPAP』は世界的に知られているので、流行り廃りの早い日本の芸能界で活動しているだけじゃないというところがあります。また斎藤さんは、歴代のM-1王者と比べると、ネタだけを売りにしていない。トレエンの2人はフリートークにも長けていて、バラエティー番組をやっている中での『斎藤さんだぞ』なので、今までの一発ギャグとはちょっと違います」(品田氏)

 対してペリーさんは、

「『PPAP』は次はあるのかなという、すでにみんながそんな空気を感じていて、それを含めてみんなで面白がっていますね。斎藤さんはまだまだ引っ張っていくと思うし、芸人として上に行く可能性は十分にあると思いますね」

 大賞の発表は12月1日。いったいどの言葉が栄冠を手にするのか!!