若く見られたいけど、なんかヘン!?

 女優・小泉今日子さんと社会学者・上野千鶴子さんが女性誌で対談し、「アンチエイジングという言葉が大嫌い」と盛り上がったことが話題に。シワやたるみを気にするアラフォー、アラフィフの女性たちは「そうだよね!」とうれしくなった一方で、キョンキョンみたいにきれいじゃないし、上野先生みたいに潔くなれないしと、心にすき間風が吹いた人も多い。

 20〜60代の女性が対象の『週刊女性』のアンケートでは、約66%がアンチエイジング肯定派で、キョンキョン&上野先生のようなアンチ・アンチエイジング派は少数。「年齢より少しでも若く見られたい」「できる範囲で努力している」という声が中心だ。最も頑張るポイントは体形、髪型、おしゃれがトップ3で「不自然に若く見せるのはイヤ」「人工的な美しさは気持ち悪い」と、過剰なケアにも抵抗があるよう。

 なにしろ日本は「美魔女」「劣化」という言葉が飛び交い、“若くなければオンナじゃない”という決めつけがまかり通っている社会。

 もう少し自然に年を重ねることが受け入れられて、そんな女性の魅力が認められるようになれば、アンチエイジング派の女性の意識も変わってくるはず。だって、誰でも年をとるのは当たり前。女性だからとシワやシミに落ち込んで、大騒ぎしなくてはいけないなんて、なんだかヘン!?

やるべきことが道半ば、年齢なんて気にならない

桂由美さん 撮影/竹内摩耶

 この秋、20〜70代までの女性がモデルにエントリーするコンテスト『ジャパンウイメンズコレクション』が開催される。各世代がそれぞれの美しさを競うという内容が画期的だ。

 その特別審査員を務めるのが、ブライダルファッションデザイナーの第一人者として活躍する桂由美さん。50年にわたり日本女性の持つ美しさを引き出してきた桂さんは、若さへの信仰が根強い現状をどう感じているのか。

日本人は年齢を気にしすぎです。新聞や雑誌に載ると必ず年齢も書かれるでしょう。ファッションショーを開いたという話題に、なぜ年が必要なのかしら。海外ではありえません。デザイナーとして年齢を明かすのはよいことではないし、私の場合は若いお客様が多くて、みなさんと話していると自分が何歳かなど気にしていられません」

 そんな桂さんは最近、新聞の“人生経験が豊富な人物を取り上げる連載”の取材にこう答えたという。

連載のタイトルが『人生は夕方から楽しくなる』。私は今が夕方どころか、まだ道半ばでやるべきことがたくさんあって、真っ昼間だと思っている。そう伝えたら、それが見出しになりました

 年齢やアンチエイジングには興味なし。ドレスのデザイン、会社の経営、社会への文化貢献活動で毎日が充実している。

自分のファッションにもメイクにも気を遣っていられません。朝のメイク時間は7分ほど。たまに慌てて家を飛び出して、オフィスで“アイラインが片方入っていません”と注意を受けることもあります(笑)

 桂さんといえば、ターバン型帽子がトレードマーク。だが、これも実はヘアスタイルを隠すため考案したそう。

「忙しくて美容院に行けなかったのがきっかけ。皇后陛下の帽子を作っていらした平田暁夫さんにお願いをして、かれこれ150個ほど作っていただきました。おかげで髪は2、3か月に1度、整えているだけですよ」

未来のことを考えて、自分らしく美しく

桂由美さん 撮影/竹内摩耶

 晩婚化が進み、ブライダルファッションのお客様の年齢層も幅広くなってきた昨今。年代によって選ぶドレスの傾向があるのかと思えば、「年齢を気にしてウエディングドレスを選ぶ人は少なくて、20代でとてもシックなデザインを着る方もいれば、40代でも驚くほどかわいいドレスを選ぶ方もいます。自分が美しく見えるかどうかがもっとも大切ですから、それでいいと思います」と話す。

 また、最近よく感じるのは、女性が上の年の差カップルが増えていること。10月には三原じゅん子さんが、24歳も年下の男性との結婚を発表した。

「私の若いころには、こうしたケースはありません。ということは、昔に比べて若い男性が年上の女性の魅力を感じているということ。美しさにはかわいらしい、成熟しているなどたくさんの種類がありますから、男性も女性も、その美しさを年齢に結びつけないで感じるようにすれば、もっとやさしく思い合えるのでは」

 最後に、桂さんの『美人エイジング』のコツとは?

なるべくマイナスのことを考えず、楽しいこと、明るい未来のことを考えるように心がけています。そのためにやるべきこと──イヤなこと、つらいこと、悲しいことはできるだけ早く片づけます。みなさんも自分の魅力をいち早く発見して、それを磨くことでステキに年を重ねてください」

<プロフィール>
桂由美◎東京都生まれ。共立女子大学卒業後、パリに留学。1964年、日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動開始。イタリア、フランス、中国をはじめ世界各国で創作活動を展開。全日本ブライダル協会会長。