山下智久

 2016年はNEWSにとって、躍進の年となった。音楽はもとより、キャスターや作家など幅広い仕事をこなして個々がキャリアを積み上げるなか、8月には『24時間テレビ39「愛は地球を救う」』(日本テレビ系)でメインパーソナリティーも務めた。

「100キロマラソンの応援で泣きながら歌い続けたステージは、視聴者にも感動を与えました」(テレビ局関係者)

 彼らがこの番組のメインパーソナリティーを務めたのは2度目。ただし前回の'09年は4人ではなく6人のグループだった。さらに、'03年の結成当時は9人組。センターには山下智久の姿があった。

「NEWSは当時、ジャニーズJr.で1番人気だった山Pのために立ち上げたグループといわれ、1枚目のシングルジャケットでは、現在のメンバーは後列での小さな扱いでしたね」(レコード会社関係者)

 12月9日に出版される『NEWS あの日のままで』(主婦と生活社)は、そんな結成メンバー9人の希望に満ちたデビューから現在までが、元スタッフたちの愛情ある目線で語られた本だ。そこにはトラブルに見舞われての苦悩、逆風、奮闘、そして再び脚光を浴びるまでの努力の日々が描かれ、知られざる秘話もふんだんに盛り込まれている。

 活動初期から相次いだ脱退劇。そして最大の危機は'11年、エースの山下がソロとして独立したことだ。実はそれと前後して、山下とジャニーズ事務所との間に契約をめぐるトラブルが存在したことも、本の中では明かされている。

《人気シリーズとなったあるドラマに主演したときのことだ。「なんで主役なのに、僕のほうがギャラが安いんですか」突然、山下が事務所に言いだした。というのも、打ち上げで他のキャストと飲んでいたときに出演料の話になり、他のキャスト、とりわけ共演の年下の女優よりも少なかったことが判明。さすがにショックを受けたのだろう》(『NEWS あの日のままで』より、以下同)

 ドラマ出演料は事務所に支払われ、出演者に配分される。テレビ局関係者によれば、

「ジャニーズ事務所のギャラは少し高めに設定されていると聞きます。他の事務所の1・3倍程度とか」

 しかし、若いうちから大金を持つのはよくないというのがメリー喜多川副社長の考えだ。また、若くして主役が張れるのも事務所のパワーが関係しているという事情も。

「スキャンダルなどに対する強さも事務所によって違います。ギャラよりもタレントを守ってくれる安心感で事務所を選ぶタレントも多いですね」(スポーツ紙記者)

老舗は事務所の取り分が多めですが、そのかわりに事務所の力で仕事が入るんです。逆にモデル系の新しい事務所などは、本人の取り分は多いのですが、営業力はそんなに強くなかったりします。それぞれの事務所で事情は違いますし、ギャラの話を出演者同士でするのはタブーなんですよ」(芸能プロ関係者)

 そんなタブーを犯した結果、主役のほうがギャラが安いという逆転現象を知ってしまった。プライドを傷つけられた山下は、事務所に不信感を抱くこととなった。

『NEWS あの日のままで』主婦と生活社 1300円(税込み)*画像をクリックすると購入ページにジャンプします

《メリー副社長も、山下の側も一歩も引かない。「事務所を変わる」「もうクビだ」という激しい対立に発展し、のっぴきならなくなってしまった》

 窮地に陥った山下。だが、そこに救いの手を差しのべたのがジャニー喜多川社長だ。

じゃあ、いいよ。山下は僕と契約しよう。個人的に僕のほうでやるから

 そう言って助け船を出し、SMAPを育てた飯島三智マネージャー(当時)が山下を預かることで決着へ。ジャニー社長の独特な存在と立ち位置ならではのエピソードだ。

ジャニーズ事務所の場合は紙の契約書なんて必要ない、っていう部分もあるんですよね。契約書がなくてもタレントたちはついてくる、という自信と力。

 Jr.たちだって契約に縛られているわけじゃない。もちろんジャニーさんは社長ですから、タレントも安心してますけど」(元スタッフ)

 ジャニー社長がマネージメントをするのはもっぱらJr.だけだが、お気に入りのJr.に注ぐ愛情はデビュー後も変わらない。それが山下への助け船という形になった。