犯行直後の植松容疑者(ツイッターより)

「1年ほど前から“障害者は生きている価値がない”などと口にするようになり、急におかしくなった。しかし、その原因はいまだに俺らも正直いってわからないんです」

 植松聖容疑者(26)の友人はそう振り返る。

 かつて勤務先だった神奈川県相模原市の障害者施設『津久井やまゆり園』に真夜中に忍び込み、就寝中の入所者19人を刺殺するという戦後最大級の殺人事件を引き起こしたのは7月26日のこと。凶行の約5か月前、衆院議長公邸に赴き、「私は障害者総勢470名を抹殺することができます」と犯行の手口まで記した予告文を渡していた。

 奇怪な行動を追えば追うほど正体のわからなくなるこの男。暴力団員でもないのに全身に入れ墨を彫っていた。

あれは1回で入れたのではない。大学時代から1回2万円で胸に獅子と金魚、太ももにゲゲゲの鬼太郎、腹に蛇、背中に『面散らし(般若やヒョットコなどのお面をちりばめた模様)』と徐々に入れていったんです」と前出の友人は説明する。

 若者がイニシャルを彫るようなタトゥーではなく、“和モノ”の図柄をびっしり。ゲゲゲの鬼太郎だけ違和感が際立っている。前出の友人の話。

何事も長続きしないやつでしたが、オカルトにハマっていたことがある。約1年前にはオカルト系で謀略を予言するイルミナティカードや、大量虐殺をしたヒトラーのサイトに夢中になっていた

 鬼太郎は言わずと知れた妖怪である。分類はオカルトというよりも人気アニメだろうが、植松容疑者はなぜオカルトに引き寄せられたのか。

漫画家の母親がオカルトやホラー系の作品を描いていたようだ。その影響を受けた可能性は否定できない」と全国紙社会部記者。

 植松容疑者は犯行予告のような手紙を書いた直後、緊急措置入院させられている。入院中、「ヒトラー思想が2週間前に降りてきた」と話したという。ナチスの独裁者ヒトラーは、子孫に優劣をつける『優生思想』から多くの障害者を虐殺したとされる。

 事件当時、植松容疑者がひとりで暮らしていた一軒家は、事件から約4か月がたって警察の規制線が解かれた。周辺住民の話によると、放火やいたずら被害を警戒していたようだ。家はそのままで売りに出されてはいない。もともとは両親と住んでいたが、約4年前に両親は出て行った。近所の男性は言う。

「容疑者は子ども好きで、近所の子どもとよく遊んでいたんだよね。ある日、子どもが彼の入れ墨を見て、その話がすぐに近所で広まった。

 母親が泣き叫んで畳を叩く音が自宅から聞こえてきてね。間もなく両親だけが引っ越し、容疑者は海水パンツ一丁になって、自宅前の路上で身体を日に焼くようになったよ。ビキニ姿の彼女も一緒だった

やまゆり園の正門前には今も献花台が。12月26日で撤去される

 襲撃された『やまゆり園』は'17年春から4年かけ、施設全体が建て替えられる。周辺住民への説明会では、その間、横浜市内の施設に仮移転することが報告されたという。

「事件直後は体育館で寝泊まりする入居者がいました。襲われた部屋はクリーニングしてもさすがに使えないので、そこの居住者は別の施設に移動しました。

 事件の影響で他の施設に移ったり、自宅へ戻った人もいるので、園に残ったのは60人ほど。事件後しばらくは外出しなかったのですが、最近は職員が2、3人を連れて散歩する姿をようやく見かけるようになりました」(近所の主婦)

 容疑者は精神鑑定中で'17年1月下旬にも結果が出る。刑事責任能力があるとみなされれば、起訴されるはずだ。