バナナマン・設楽統さんと森山良子さん。カメラを向けると、お互いすぐにこの笑顔。息もピッタリでした! 撮影/近藤陽介
隔週で日々の出来事を『週刊女性』に綴ってくれている森山良子さん。今回は特別編ということで、以前から大ファンだというバナナマンの設楽統さんとの対談が実現しました! 普段から森山家と親交があるという設楽さんだけに、序盤から和やかな雰囲気で始まった対談は終始、笑いの渦に包まれて――。

森山家の全員と1対1でご飯に行ける

設楽 良子さん、今日はよろしくお願いします。対談相手が僕なんかでいいんですか?

森山 もちろんですよ! いつもの連載では、私が1人でたわいもないことばっかりしゃべってるんですけどね。そこで、私が「バナナマン大好き!」って熱弁していたら、「対談しませんか?」という話になって。お受けいただいてありがとうございます。

設楽 こちらこそですよ。でも、なんかヘンな感じですね。

森山 そうね。設楽さんと話すのは、だいたいウチで飲んでるときですもんね。

設楽 面白いことに、僕は森山家の全員と1対1でご飯に行けるんですよ。直太朗くんと小木(博明)さんがいなくても、奈歩ちゃん(森山の長女で小木の妻)と連絡とってご飯に行くときもあるし。

森山 もともと娘がバナナマンの大ファンで、いつも家でビデオを見せられてたの。『亀の恩返し』とかね。それがもう、本当におかしくてチャーミングで。1日に10回や20回は繰り返し見て、同じところで「ア〜ハッハッ!」って笑うんですよ。

設楽 “鶴の恩返しがあるんだったら亀の恩返しがあってもいいんじゃないか”っていうので、相方の日村(勇紀)を全身、緑色にして「助けてもらった亀です」って来るという話で。

森山 ハハハハッ。そうそう。

設楽 僕らは結成して今、22年〜23年ですけど、それなんて2年目、3年目くらいの初期の初期のネタですね。今も、毎回ライブに来ていただいて。

森山 そうね。バナナマンは1回も私のコンサートには来てくれてないけど(笑)。

設楽 それは、いつか機会があったら行かせていただきたいんですけどね(笑)。

森山 若いころから長いこと見てると、成長の記録みたいなものがあるんですよ……。

設楽 何か変わってますかね。

森山 面白さに磨きがかかって吹っ切れた感じ。そういう成長を毎回見られるのがうれしいし、バナナマンのライブを見た翌日はすごく元気になって、自分のライブでも面白いことが言えちゃうの(笑)。それで、私のコンサートを見てくださった方もこんな気持ちなのかなと思って。表現の仕方は違うけれど、舞台上の生を見るということでは音楽とお笑いって同じところにあるんだなって。

設楽 ホントですか。僕らも15年〜16年やってるネタで、『赤えんぴつ』っていうフォークデュオがあるんですが、良子さんのような日本のトップシンガーが、毎回、ライブで僕たちのバカみたいなオリジナルの歌を聴いて、どんな気持ちでいるのかな? と思ってたんですよね。

森山 実はね、あれがだんだんうまくなっていくのがよくない(笑)。最近はギターもちゃんと音が出ちゃってるし。あのネタはだいたいライブの最後にやるじゃない? あれが今では「ケガするんじゃないか」っていうくらい怖くなってきてるの。

設楽 最後に日村のシャツを破るんですけど、狂気は意識してるかもしれないですね。ミュージシャンの方って破天荒な方が多いじゃないですか。自分の世界観がハッキリしているというか。

森山 らしいですけどね(笑)。でも、本当に破天荒な人は、人前ではいい感じにして裏で暴れたりするの。私はそうじゃないけど、1回やってみたいとは思ってます。

設楽 いや、思っちゃダメですよ。家に帰って良子さんが暴れるって(笑)。

設楽さんはすっごいセクシー!

森山良子 撮影/近藤陽介

森山 そういえば、設楽さんが家に来てくださったときね、最初、設楽さんのこと、すっごいセクシーだと思ってたの。今でもちょっと思ってるけど。

設楽 どういうことですか?

森山 すっごいくだらない話をしているんだけども、色気があるから、話してる設楽さんをまともに見れないの。「わあ……♪」って勝手にドキドキしてたんです(笑)。

設楽 いやいや、おかしな感じですね。僕は、森山家には常に憧れがあるんですよね。僕なんか本当に田舎者ですし。おうちに招待していただいたときも、ちょっと舞い上がってたんでしょうね。アンガールズの田中(卓志)とか東京03の角ちゃん(角田晃広)とか、みんなそうだったと思いますけど。そういうワケわかんないやつらの前で、なぜか良子ママが歌う、みたいな。

森山 あら、歌ってました?

設楽 直太朗くんと一緒に突然、歌いだしたりするんですよ。少し酔ってたとは思いますけど。これは自分の中にはない憧れの家庭だなと。奈歩ちゃんも直太朗くんも、みんな素直で純粋なんですよね。良子さんも可愛げがあるし。

森山 やった〜! 設楽さん自身は女性に対して、どういうものを求めてるの?

設楽 やっぱり自然といいなって思うのは、よく笑う人になっちゃいますかね。しゃべってて、ブスッとされてたらイヤですし、明るく笑ってくれる人が好きですね。

森山 楽しい気持ちで笑ってるって健康にもいいですしね。

設楽 それを維持するのは難しいかもしれないですけどね。

森山 でも、私はわりと楽しみ好きなほうなんで、悲しいことや大変なことがあっても、「これは神様にいただいた授かりもん。ずっとは続かないだろう」と思ってますね。前に落ち込んでるときに、ある人から「自分の中にはカメラが10コあると思いなさい」って言われたことがあって。こっちから見ると大変だけど、こっちから見ると案外面白かったりして。それで落ち込んでるのがバカみたいって思ったことがあったの。設楽さんは悩みとかある?

設楽 悩みっていっぱいあると思うんですけど、いま出てこないってことはないのかな。でも、僕は常に怒りたくないし、感情を激しくしたくないんですよ。怒ると止まらなくなりそうで。

森山 『赤えんぴつ』みたいになっちゃうから(笑)。

設楽 そうなんですよ。僕ってちゃんとした人じゃないんで、やっぱりイライラしたりとかあるんですよね。「あそこでああ言ったけど、こうすればよかった」とか、ふとしたことでずっと考えちゃう。

本当に思っていることを隠しちゃう

バナナマン・設楽統 撮影/近藤陽介

森山 あんまり口に出さないで我慢したり?

設楽 うん。あんまり言わないですね。基本、努力してることとか本当に思ってることを隠しちゃうんですよ。心の扉があるとしたら“ちょい開け”ですかね。なんか大胆に見せられないんです。逆に言うと、日村とか直太朗くんとか良子さんとか、ピュアで全開な人に憧れてるんですよね。

森山 でも、開いてるときもあるんでしょ?

設楽 ありますけど、わりと限られた人ですし。うわべの人付き合いはフルオープンに見えるけど、それは門扉みたいなもんで。自分の扉はかなりのロックが……。

森山 扉を開けないのは、幼少期の環境が影響してるの?

設楽 なんかバカにされたくないって卑屈な部分があるんだと思うんですよね。僕らは“東京芸人”ってひとくくりにされてるけど、自分は埼玉の田舎もんだし。今、テレビの仕事をしていても、周りのスタッフとかみんないい大学出てるのに、自分は高卒でバカだし。そこを見透かされないようにスンと澄ましていると、ごまかせるというか。

森山 え〜、ホントに? 私なんか留年して、高校4年も行ってるのよ(笑)。

設楽 でも、行ってる高校が名門校じゃないですか(笑)。だけど、モノを作ってる人って卑屈な部分があってモテないとか金がないとか、それをバネにするところから始めてるから卑屈を大事に持ってるというのもあるんですよね。

森山 それもこだわりかもね。一番大事なものは誰にも見せないで、大切に心に持って生きてきたんだから。設楽さんは早く結婚したでしょ。お子さんももう中学生で。いくつくらいで結婚したの?

設楽 結婚自体は25歳とか26歳ですけど、19歳から付き合ってたんでバナナマンを組むよりも前からですね。

森山 その落ち着いた感じも、世の女性は安心感があって素敵と思うのかもしれないわね。家族って、その人を支えてるバックグラウンドの宝物みたいに感じるのね。「ひとりぼっちじゃない。頑張ろう!」っていう力にもなるというか。すごく素敵なことだから、直太朗にも結婚して家族を持ってほしいと思うんだけど、最近では顔を見るたび「どう? どう?」って言っちゃって。やめようと思うんだけど、こらえられないの(笑)。

直太朗が好きならどんな人でもOK

バナナマン・設楽統と森山良子 撮影/近藤陽介

設楽 今もう、けっこういい年になってきましたよね。カッコいいし、話してて気持ちいいし、モテる要素はいっぱいあるのに、彼女がいないって何でしょうね?

森山 色気がないんじゃない? 女の子とすごく仲よくなるけど、男同士みたいな仲のよさで。草食系とかいうけど、そういう感じなのかな。

設楽 僕は、「誰かいい人いない?」って言われた瞬間に直太朗くんが浮かびますよ。

森山 あらそう? よろしくお願いします(笑)。

設楽 以前、小木さんが大久保(佳代子)さんを直太朗くんに紹介したことがあって。

森山 案外、嫌いじゃなかったみたいですけど、どうだったんでしょうね。

設楽 でも、直太朗くんは美人好きだから、女芸人は連れてこないと思います(笑)。

森山 だけど、結婚は顔でするものじゃないですからね。

設楽 趣味も変わってくるかもしれないですしね。最近、山小屋を買ったりしてるから、自然派の女性を連れてきたりするかもしれないし。

森山 ふたりで作務衣着て、そば打っちゃったりしてね。でも、私は全然、どんな人が来てもOK。直太朗が大好きな人だったら……ってなんでここでこんな話してるのかしら。恥ずかしい(笑)。ただうちで一番うるさいのは小木だと思うの。「俺が気に入らないと許さない」的な威張り方をしてますから。そこをクリアしていただければ。

設楽 すごいですね、小木さんの発言力。森山家をじわじわと乗っ取ってる感じが……。

森山 うちの亡き母が、初めて小木が家に来たときに「あの人は家を乗っ取りに来た」と言ってましたけど、今はもう乗っ取られてます(笑)。

設楽 僕は、小木さんも知り合いだし、森山家の全員と知り合いだから、なんかあったら僕がみんなの調整役になりますよ。「良子ママ、今ね、小木さんこう言ってますけど……」って、できますから。力になりますよ。

森山 ホント? すごいうれしい。その力強いお言葉。頼みますよ(と言って、握手)。

設楽 なんで僕が森山家に介入するんだ? って話ですけどね(笑)。

※この対談のウラ側&未公開シーンは、12月22日の『ノンストップ!』(フジテレビ系)で放送予定です。

<プロフィール>
設楽統●1993年に相方の日村勇紀とともにバナナマンを結成。テレビやラジオ、舞台と幅広く活躍。個人でも'12年4月から『ノンストップ!』(フジテレビ系)のMCに就任した。今夏に開催した単独ライブの DVD「bananaman live『腹黒の生意気』」が、'17年2月2日にリリースされる。

森山良子●1967年『この広い野原いっぱい』でデビュー。その後、ミリオンセラー『禁じられた恋』をはじめ『涙そうそう』、『さとうきび畑』など、数々のヒット曲を生み出す。デビュー50周年記念アルバム『Touch me…』が発売中で、現在は全国を回るライブツアーの真っ最中。詳細は公式ホームページにて。

(取材・文/相川由美、撮影/近藤陽介)