大竹しのぶ。2016年のNHK紅白歌合戦記者発表で

 12月28日から渋谷・NHKホールで行われている『第67回紅白歌合戦』の音合わせ。2日目を迎えたこの日、初出場歌手10組のうち8組が会場に訪れていた。

 最初にステージ上で音合わせをしたのは、出場歌手の中でも最年少・平手友梨奈を擁する欅坂46。ガチガチに緊張する彼女たちとは対照的に、20周年を迎えたPUFFYはリラックス。紅組のトップバッターで初出場を飾る。

 また、世界からも注目されている映画『君の名は。』の主題歌を務めたバンド・RADWIMPSも、初めて年末にNHKホールの舞台を踏む。

舞台袖からリップロール(唇をブルブルと震わせて音を鳴らす動作)が聞こえてくると思ったら、ボーカルの野田洋次郎さんが現れました。かなり気合が入っていたようで、舞台に出る前からずっと発声をしていましたよ」(スポーツ紙記者)

 順調に歌い出すも、音合わせの途中からは、マイクを触っては首を傾げている。

「どうやら、乾燥していたせいで静電気が起こり、イヤーモニターにノイズが入ってしまっていたようなんです。“アースの調子ですかね?”とスタッフさんに話していて、静電気除去スプレーを全身にかけてもらっていましたよ」(前出・スポーツ紙記者)

 大事な本番は、乾燥で気が散らないように保湿して!!
 
 来年デビュー20周年を迎えるKinKi Kidsも、初出場組のひとつ。男女のバックダンサーを付けてデビュー曲の『硝子の少年』を披露する。

「2人ともステージに入ってくると、一度イントロ~Aメロまでの振りを練習していました。その後も剛さんは、ダンス指導の方の隣に立って同じ部分を何度も繰り返していました。光一さんはあまり動くこともなく、イヤーモニターの様子を確認していましたね」(取材に当たった男性記者)

 剛が“動”で光一が“静”。そんな様子は音合わせの間、しょっちゅう見受けられた。

「剛さんは振り返って何を見ているのかと思えば、角度が甘くてスタッフが設置し直している舞台装置の転換作業をじーっと見つめたり、そうかと思えば舞台袖へ消えたり……。

 そんななか、バミリ(ステージ上に記した立ち位置の目印)からほとんど動かない光一さん……(笑い)。ふたりは音合わせでも囲みでも、ほとんど視線を交わすことがなかったのですが、それでも歌やダンス、会話のテンポは息ピッタリ。まるで、熟年夫婦のようでした」(前出・取材に当たった男性記者)

 そんなKinKi Kidsの直後に音合わせが始まったのが、初出場歌手の中ではいちばんベテランの大竹しのぶ。エディット・ピアフの『愛の讃歌』を歌い上げる。

ロビーにいたら、低く貫禄のある声が聞こえてきたので、“誰だろう?”と思って中に入ったら大竹さん。いつものフワッとした声とは全然違って、さすが舞台で鍛えた人だと思ったのと同時に、引き込まれましたね」(取材に当たった女性記者)

 『愛の賛歌』はシャンソンを代表する曲。恋の喜びを語るような歌詞だが、実際はピアフが愛する人の死を悼んで作ったものといわれている。大竹はリハでの歌唱中に涙ぐむ場面も見せた。その後に行われた囲み取材でその理由を問われると、意味深な返事が。

ピアフの気持ちを素直に歌わなくちゃと思って。死んだ人のこと……。愛する人が亡くなるという芝居にリンクするものがあるんです。それでも強く生きていかなくちゃと……、でも芝居として歌うのか自分として歌うのか、わからなくなっちゃうんです……

 と、しんみり語った大竹。彼女の心の中には、いったい誰が思い描かれていたのだろうか――。