前回の記事で、婚活を成功させるため必要なのは、“適度な自信”、“メリット”、“タイミング”であると書きましたが、今回は“メリット”とは何かについて、お話しします。

 2016年は芸能人の不倫が騒がれた年でしたが、不倫をされた側は、自分の配偶者と不倫をした相手に慰謝料を請求できることは、よく知られています。夫婦には他の異性と性的関係を持ってはならないという貞操権を守る義務があり、それを破ることは貞操権の侵害に当たるからなのです。

 婚活女子にとって、結婚とは愛とか恋とか価値観がどうとかそんなスイートな感じでしょうが、法的に言うと結婚は「一生、この人としかセックスしません」という性的な契約です。となると、婚活女子がまずアピールすべきは、“性的メリット”ということになりますが、それだけで結婚は決まりません。

 というのは、結婚が決まりそうで決まらないのは、「外見がいいので、すぐに男性に声をかけられる。最初は熱烈に求められるけれど、必ず最後はフラれてしまう」タイプなのです。このような女子を、タレントの熊切あさ美になぞらえて、私は“熊切型”と呼んでいます。

熊切あさ美

 歌舞伎俳優・片岡愛之助と映画での共演を機に、交際を開始。しかし、『女性セブン』(小学館)が、紀香の自宅に“お泊り”する愛之助の姿をキャッチ。『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)の取材に、熊切が「まだ別れていない」と号泣して答えたため、「往生際が悪い」「空気が読めない」と坂上忍や有吉弘行など男性芸能人の間からもバッシングが巻き起こりました。

 愛之助との破局後は、12歳年下で東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手のマンションに通う姿を『女性セブン』(小学館)に撮られました。

 そのうち“運命の人”に出会うだろうと、数打ちゃ当たる方式に賭ける方法もありますが、“熊切型”のパターンが続くようであれば、男性に「つき合うにはいいが、結婚向きではない」と見なされていないか、疑ってみる必要があります。

 一流の男性とつき合うことはあっても、結婚には至らない。『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演した熊切は、自らのこの状態を「本命になれない女」とし、その理由を「重すぎる女だから」と説明していました。

『モシモノふたり』(フジテレビ系)によると、熊切は好きな相手には、家政婦を通りこして、介護レベルの世話を焼くそうです。それが男性の負担となり、嫌われてしまうと自己分析していました。

 その分析は間違ってはいないでしょうが、当たってもいないというのが私の考えです。結婚直後の愛之助は『新チューボーですよ!』(TBS系)で新婚生活についてたずねられ、「座ってるだけで何もしないでいいから、ラク」と言っていましたが、もし愛之助が世話を焼いてもらうことを結婚に望んでいたのなら、熊切と結婚したっていいはずです。

紀香にあって熊切にない“メリット”とは?

 紀香にあって、熊切にないもの、それが“メリット”です。それでは“メリット”とは何かというと、「男性にはできないこと、かつ男性の人生に利点となること」です。

 たとえば、歌舞伎の世界は知名度や集客力のある俳優にいい役がつくそうです。集客力があるとは、チケットをたくさんさばけることと言い換えることができるでしょう。

 歌舞伎俳優と後援会の関係が密なことはよく知られていますが、それは後援会の人たちが、折々にご祝儀を包んでくれ、高価なチケットを大量購入してくれるから。歌舞伎俳優にとって、経済力のある支援者をより多く得られるかどうかは、俳優生命がかかっていると言っても過言ではありません。

 市川海老蔵や中村芝翫の母のように、資産家の家庭に育った女性が梨園妻になるパターンはよく見受けられますが、これは経済力のある妻をもらえば、自分を支援してもらえるという“メリット”を見越しての判断ではないでしょうか。

 紀香と熊切では、おそらく紀香のほうが経済力は上でしょうから、愛之助にとって、紀香のほうが“メリット”のある存在となります。紀香の事務所関係者には、芸能界に影響力があると言われている人物もいますが、紀香の人脈を使えば、こういう人に支援者になってもらえる可能性もあります。

 それでは、もう一人の熊切の熱愛相手、ヤクルトスワローズの山田哲人選手に“メリット”を与えられるのは、どういう女性でしょう?

 山田選手は、メジャーリーグでも珍しい、日本プロ野球史上初の2年連続トリプルスリー(同一シーズンに打率3割以上、本塁打30本以上、盗塁30個以上)を達成した“日本球界の宝”とも言われる名選手です。

 今のところメジャーに挑戦する気持ちはないそうですが、気持ちが変わるかもしれないとも発言しています。となると、熊切のように尽くすタイプよりも、海外での生活に抵抗がない、英語が堪能な女子アナのような女性のほうが、山田選手にとっては“メリット”があるということです。

 “メリット”を先読みできるようになると、自分に足りない“メリット”を補強したり、“メリット”を与えられない相手とはそもそも交際しないなど、婚活そのものの時間を短縮することができます。「彼は自分との結婚を考えているのだろうか」と不安になって、彼に当たり散らすこともなくなるはずです。

『モシモノふたり』において、熊切は頻繁にボディタッチをして、男性陣をメロメロにしていましたが、婚活はモテ競争ではありません。家事一切を無料で引きうける便利なオンナ選手権でもありません。

 攻撃は最大の防御と言いますが、メリットを素早く見つけて、ゆったりした気持ちで婚活を乗り切ってください。

 次回は、婚活に必要な要素、“自信”と“メリット”の相関関係についてお話しします。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、Twitterで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。2016年8月に男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)を上梓。