中卒の父が一念発起して、落ちこぼれの愛娘と最難関中学受験に挑んだ実話を基に描いたホームドラマ『下克上受験』(TBS系・金曜22時〜)。主演の阿部サダヲはじめ本作にかける出演者の熱意と撮影裏話を公開!

お受験ものにしないオリジナルキャラ

 中卒の父が偏差値41の娘を進学塾に通わせることなく、二人三脚で最難関中学を目指す。桜井信一の同名ノンフィクション(産經新聞出版刊)をドラマ化。主人公の桜井信一を阿部サダヲ、信一の妻の香夏子を深田恭子、ふたりの娘で受験に挑む佳織を、250人以上のオーディションで選ばれた山田美紅羽(みくう)がそれぞれ演じる。

佳織は、父・信一の〝俺塾〟で猛勉強する (c)TBS

 キャスティングについて、渡辺良介プロデューサーは、

「娘・佳織のために突き進むパワフルで愛にあふれる信一は、阿部さん以外考えられませんでした。香夏子は、深田さんのママ姿が見たいという気持ちでお願いしたのですが、おふたりとも快諾してくださって。美紅羽ちゃんは、原作の佳織のイメージどおり。オーディションはしたけれど、初めて会った瞬間から、“この子かな?”と思っていました。素朴で愛嬌があるけれど芯が強い。思わず応援したくなるような佳織を好演してくれています。桜井家は仲がよく、深田さんが美紅羽ちゃんと積極的にコミュニケーションをとってくださり、撮影現場の雰囲気は良好です」

 原作は父と娘の約1年半の奮闘記。ドラマでは、妻の香夏子、信一の父・一夫(小林薫)、元同級生(要潤)、勤務先の不動産会社の面々や信一の中卒仲間も登場する。オリジナルキャラクターは、いわゆる“お受験もの”にはしたくないという強いこだわりがあった。

「家族で頑張るというのは新鮮かと思いますが、受験とは関係のない方々へのメッセージも込めています。原作者の桜井さんが受験させたのは、娘さんへの深い愛情から。受験を通して子どもの教育、未来を考えてのことなんです。本作も子を思う親の気持ちを描いていますので、幅広い年齢層の方にお楽しみいただけます」(渡辺P、以下同)

 物語では父と娘の受験勉強が始まっているが、これには裏話が。

美紅羽ちゃんは佳織と同じ小学5年生ですが、中学受験をしないので、鶴亀算や旅人算など、受験用の算術を知りません。だから撮影前にお母さんと一緒に予習してくるんです。“解けないよ~”と泣きながら勉強し、撮影でも実際に問題に挑戦しているんですよ。教える立場の阿部さんも、理解していないと説得力がないので、番組には現役東大生などの家庭教師が2~3人ついています!

 撮影現場で驚いたのは毎日、成長している美紅羽ちゃんです。第3話は、受験勉強のために学校の勉強がおろそかになっていることを心配した担任から家庭訪問されるのですが、そのときの佳織の心の叫びは非常に見ごたえがあります。撮影開始から毎日、成長してきた美紅羽ちゃんの集大成といえます」

芸達者な中卒仲間&ド派手な妄想シーン

 受験に至るまでの1年半を描いているので、序盤は残暑厳しい初秋のシーンから始まっている。

「撮影は12月半ばからなので、出演者の方には寒い思いをさせています。特に小学校の登校場面では、半袖に短パンの子どももいて、1クラス分くらいの人数の子どもが寒さと闘っています」

 阿部をはじめ、共演者が楽しみにしているのは、信一が家族には言えない本音をもらす、中卒仲間(若旦那、皆川猿時ら)が集う居酒屋のシーン。

芸達者な方々がそろっているので、アドリブも炸裂しています。さらに、阿部さんからのリクエストで、初回にあった信一の大がかりな妄想シーンも登場予定ですので、お楽しみに!」

 無謀といえる佳織の挑戦を、信一はどう導いていくのか。はたして合格はできるのかが注目ポイント。

「受験を決めた桜井家にはさまざまな変化が生まれます。どんな困難が待ち受けているか、そしてそれを家族の絆でどう乗り越えていくのか。夢に向かって真剣に努力する桜井家を応援してください!」