2011年から『ルパン三世』の石川五ェ門を演じている声優の浪川大輔さん。ルパン役の栗田貫一さんに「浪川が本当に石川五ェ門になった作品」と太鼓判を押されたという映画『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』が、2月4日(土)から4週間限定で全国公開されます。収録エピソードからプライベートのことまで、浪川さんにじっくり語っていただきました!

浪川大輔 撮影/渡邉智裕

――石川五ェ門がメインの映画が製作されるというお話を聞かれたときは、どう思われましたか?

「実際にお話を聞いたときはプレッシャーが強くて。僕が五ェ門の声をやるようになって6年目ですが、いまだに自分にできるのかな、受け入れてもらえるのかなという気持ちがあったんです。なので、この作品で若かりし頃の未熟な五ェ門を演じることができたのは、僕にとっては背中を押していただける感じもありました」

――若くて未熟な五ェ門ですが、登場シーンは自信満々で。圧倒的な力を持った敵に完敗して、フラフラになるのが印象的でした。

「あんなにあっさり負けるんだ、と(笑)。でもその後、どう覚醒するかが見どころだと思います」

――覚醒するまでほぼセリフがないのが、緊張感をあおる気がしました。

「おっしゃる通りセリフは少ないんです。でもフラフラしながらハアハアしている息づかいで、何を思っているのか、絵とタッグを組んで五ェ門の思いが表現できればいいなと思いました。

 “説明ゼリフ”という言葉をよく聞かれると思うんですが、そのまま言うのはあまりおもしろくない。例えば“オレに近づくな”というセリフがあったとしたら、五ェ門は刀を持っているから(観ている人は)“そうだよね”ってなりますよね。そうじゃなくて、そこでどうしたいのか。刀を持って近づいてほしくないからこそ出てくる気持ちや気概、負けたくないのか、怖いのか、そこを表現してあげるのが五ェ門というキャラクターを演じることだと思います」

――前半の五ェ門と覚醒後の五ェ門で、意識して変えたことはありますか?

「僕もアフレコのときは強くなった気分で、勢いのあるセリフになってしまったんです。でも監督から、“そこは違う”と。“五ェ門はどんなに強くなっても変わらない、ただ滲(にじ)み出てくるものは違うなという芝居を見せてくれ”と(笑)」

――それは難しそうですね。

「最初は難しいと思いました。でも五ェ門はまだ成長過程。みなさんがいつも見ていらっしゃるテレビシリーズの『ルパン三世』の五ェ門がゴールだとしたら、覚醒してからもまだまだまだ経験を積んで成長していくはずなんです。そして人間としてどんどん深くなっていくんだと思います」

最近は「チキンカツ」がマイブーム!

――プライベートなこともお聞きしたいのですが、浪川さんが寒い冬に食べたくなるものを教えてください。

「冬とは関係ないですけど、今まで好きな食べ物を聞かれたら、“唐揚げ、生姜焼き、ハンバーグ”と答えていたんです。だけど最近、チキンカツをそこに足したい! トンカツよりもチキンカツ。この年になってロースカツよりチキンカツです。チキンカツは奥が深い! カレーもチキンカツカレーです。

 僕は濃い味が大好きなんですけど、チキンカツカレーはその濃い中にちょっとしたサッパリがある。ずっとサッパリは嫌いなんです。衣のくどさとチキンが戦っているんですよね。まるで石川五ェ門のようにね(笑)。チキンカツの味は、切れ味は鋭いけど、相まみえないんです。そこが素晴らしい」

浪川大輔 撮影/渡邉智裕

――チキンカツと五ェ門に共通する魅力があるとは(笑)。では最後に2017年にチャレンジしたいことは?

「僕は2017年、本厄の年なんです。なので、いかに平静にこの1年を過ごすかが重要。でも僕はすぐ興奮するし、欲に負けるタイプなんです。みんなが盛り上がっていたら、すぐに盛り上がってしまうので、そこでいかに冷静でいられるかにチャレンジしたい。

――「飲みに行きませんか?」と誘われたら、ノリよく行ってしまうタイプなんですね(笑)。

「行きます。でも今年は『行きましょう』と、スッと切れ味鋭い受け答えでいきたいですね(笑)。イベントの台本でも、最後のほうに“浪川”と書いてあると、話を振られたら“落とせ”って感じがあるんですけど。そこでもグダグダ滑り芸ではなく、スッと! 今まではそこで“ムリムリムリムリ!”って言って先輩や後輩にイジられてましたけど、今年は浪川違うなって感じさせたい! これは大いなるチャレンジです」

<作品情報>
『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』
『ルパン三世』の原点をリビルドし、若きルパンたちを描いた『LUPIN THE IIIRD』シリーズの第2弾。主人公は石川五ェ門。自らの雇い主を守りきれなかった五ェ門は、仇として敵を追い、対決するが、敵のけたはずれのパワーで叩きつけられて身体も誇りもボロボロに打ち砕かれてしまう。絶望の底に落ちた五ェ門。その果てに掴んだものは――。
2月4日(土)新宿バルト9ほかにて4週間限定で全国公開。

<プロフィール>
なみかわ・だいすけ◎4月2日、東京都生まれ。幼少時からドラマ、映画、声優と多方面で活躍する。アニメでは、『機動戦士ガンダムUC』のリディ・マーセナス役、『君に届け』の風早翔太役など。洋画の吹き替えも数多く、『ロミオ+ジュリエット』のレオナルド・ディカプリオや『スター・ウォーズ』シリーズのスカイウォーカーなどを担当。

(取材・文/佐久間裕子 撮影/渡邉智裕)