この数年で、葬式はますます簡素化され、費用も減ってきているという。(財)日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』」(2017年)によれば、葬儀費用の全国平均は196万円。一方、2008年ごろから広まった「家族葬」の費用は20万~120万円と言われる。家族葬では、お通夜と告別式は行うが、出席するのは家族や親族と故人の親友だけ。お金がない人も、死んでからお金をかけたくない人も、生前に自分の望むスタイルを決めておこう。

写真は長崎県の軍艦島沖での散骨風景

葬儀をできるだけ安くすませる方法

【直葬】身内のみで火葬と読経を(20万円)

 宗教儀式を行わず身内のみで火葬だけを行うことを直葬という。葬儀社をよく吟味すれば20万円以内で可能。法律により遺体は24時間以上安置の必要があるので、病院や火葬場で預かってもらった後で荼毘にふす。希望により、出棺時や火葬炉前で、僧侶による読経をしてもらうこともできる。トラブルを避けるため、よく葬儀見積もりを検討して内容を確認したい。

【樹木葬】永代供養つきで自然に還れる(3万円)

 千葉県野田市の大利根霊園にNPO法人と霊園が共同企画した合葬式樹木葬は、永代供養つき合葬墓で3万円の低価格。霊園の敷地や自然の山へ木や草花を植え、その下に骨を埋葬する樹木葬は自然に還るとして人気だ。場所によりトラブルもあるので、注意が必要。

【送骨】ゆうパックで遺骨を送る(3万円)

 お寺や霊園に遺骨を配達してくれる業者はそう多くはないが、日本郵便のゆうパックなら利用可能。納骨してもらったあとは、永代にわたり供養を行ってくれる合葬型の永代供養墓が低価格でおすすめ。自宅に遺骨を置き続けている人も、遠方の寺院でも、気軽に利用できる。目安は3万円前後から。

【献体】(0円)

 献体とは、死後に遺体を解剖教室などに提供し、医学の発展に生かすための行為。もちろん本来は、葬儀費用が0円になるという考えで行ってはいけない。生前から大学や関連団体に登録しておく必要があり、献体実施時には遺族や関係者が提供に同意して、はじめて献体が実行される。