'13年4月、三國さんの告別式での寛一郎。ここで関係者の目に止まり、デビュー

「浩市さんは“あいつを子役にはしたくないんだ”と繰り返し言っていました。親のエゴで小さいときからレールを敷いてしまうのはイヤだと。

 寛一郎くんには一般の人と同じ生活を送ってもらったうえで、自分の意思で進路を決めてほしかったんですね」(映画製作会社関係者)

 佐藤浩市の長男が俳優デビューする。9月公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で、重要な役どころを演じることが、このたび発表されたのだ。

「主演はHey! Say! JUMPの山田涼介さん。寛一郎さんにとっては祖父にあたる故・三國連太郎さんと『釣りバカ日誌』シリーズで名コンビを組んだ西田敏行さんも出演します」(スポーツ紙記者)

 今回の映画出演について、当の本人はというと、

「親のことを言われるのは正直うれしくはないですが、注目していただけることはありがたいことでもあるので、それをプラスに変えて今後の俳優人生を進んでいこうと思っています」

 親といえば佐藤もまた、実父の三國さんとは長い間、解けないわだかまりがあった。

三國さんは恋人をつくり、浩市さんが幼いときに家を出て行ってしまった。“これからは他人だ”と言われたことは子ども心にそうとうショックだったことでしょう。大人になって久しぶりに再会し、“役者になりたい”と告げたときも、三國さんの反応は、“そうか”と寂しいものでした」(芸能レポーター)

 '96年に映画『美味しんぼ』で父子共演した際も、会見では「三國さん」「佐藤さん」と、よそよそしく呼び合うほど。三國さんの死にも、佐藤は「最後まで親子としてではなく、役者としてのつながりだった」とコメントしている。

三國さんにしてもらったように

 そんな体験からか、彼は息子である寛一郎とのプライベートの時間を大切にしてきた。自分の仕事場によく連れていったのもそのひとつ。自らも数回ながら三國さんに現場を見せられ、映画やドラマの“作品”としての魅力を知ったからだ。7年前には、雑誌の対談でこんな話をしていた。

《たとえば『仮面ライダー』とかの役者さんと「今度、一緒に仕事するから会わせてあげようか」と言うと「いいよ。だって、あの役をやってたのは役者さんでしょう。あの役じゃないでしょ?」っていうようになった(笑)。まさに僕が考えていたことを彼も感じるようになるもんなんですね》

 周囲には「息子に好きな仕事をやってほしい」と漏らしていたそうだが、何の因果か、寛一郎は自らの意思で俳優への道を選択した。海外への留学後、昨年秋に帰国してきて父に進路を打ち明けたという。

佐藤さんは三國さんと同じように、“そうか……”としか言わなかったそうですが、自分がその昔、三國さんに言われたときとは、まったく違う意味あいだったんでしょうね。

 クールに装っていたそうですが、内心はそうとう寛一郎さんのことが気になっているみたいです。自分と同じ道を歩むことに対しては、もちろん複雑な気持ちはあるんでしょうが、やっぱりどこかでうれしい気持ちもあるんでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 そんな父の心配をよそに、息子はというと、すでに次の仕事も決まっているそう。

「『心が叫びたがってるんだ。』という人気アニメの実写版映画が、今秋に公開されるのですが、主要キャストに名を連ねています。今月末には撮影がスタートしますよ」(映画ライター)

 父ならずとも、日本中のファンが気になる存在になりそうだ。