アニメ映画『ひるね姫~知らないワタシの物語』で声優に挑戦した高畑充希 撮影/廣瀬靖士

最近、赤ちょうちんみたいなところに行くんです。朝ドラヒロインをやっていたときは、ちゃんとせねば!と思っていたので(笑)、お酒を飲むときも個室を探したり。今はもう終わったから解禁です。自由にふらふらしています」

 朝ドラ『とと姉ちゃん』でヒロイン・小橋常子を演じ、国民的人気を得た高畑充希(25)。’07年からは、6年間にわたってミュージカル『ピーターパン』で8代目ピーターパンを務めた。

 作品の“真ん中”にいることのプレッシャーと責任感は並大抵のものではなかったようで、当時をこう振り返る。

『ピーターパン』で主演したときも、どこかで子どもが見ているかも、と信号も黄色になったら渡らないとか。いろいろ考えていました」

 “ホーム”である舞台や、映像でも情感豊かな歌を披露。女優として順調にステップアップを重ね、CMでは『NTTドコモ』や『JRA』といった有名企業に起用されている。これからの目標は?

「目標……、ずっとなかったんです。デビューしたときには、舞台の『奇跡の人』でヘレン・ケラーを演じたいという目標があって、それが’09年に叶ってからあまり目標を立てないようにしていて。朝ドラヒロインまでやらせていただけるなんて思ってもいませんでしたし、自分の人生設計からだいぶ脱線中です」

 予想外といっても、いい方向に脱線しているのでは?

「どうだろう(笑)。でも、せっかく見ることができる景色は見たいな、と思います。誰かが自分に何かをさせたいと思ってくださるなら、映像であれ舞台であれ、その作品は絶対にいいものにしたいと思います。

 私、流れに身を任せてしまうタイプで。流されていたら、こんな場所に来れてしまった、って(笑)。いろいろな素晴らしい出会いもあり、本当に恵まれているなって思います」

 その新たな“出会い”のひとつが、映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』で声優として演じた主人公・森川ココネ。声優としての役作りで苦労したことはある?

お芝居するときに相手がいないことに慣れていないので、相手がどうしゃべっているかわからない状況で声をあてていくのは、すごく難しかったです。今回セリフはほぼ岡山弁。関西弁のような部分もあるし、広島弁みたいな言葉もあって、ちょうど中間なのかな。ヒヤヒヤでした。

 方言の役では、できるだけその方言を普段から使っている人に見えるようになる、というのが目標なんです。アニメだと普段の会話より抑揚をつけなきゃと思うんですが。方言とのバランスも難しかったです」

楽屋で見た、すごく苦しい悪夢とは……?

 この作品では、ココネが見る夢が大きな意味を持っているが、高畑自身、夢はよく見るほうなのだろうか?

「私、実は昔からあまりいい夢を見ないんです(笑)。ネガティブなものばかりで」

休みには「何もしない、ことをやってみたい」と高畑充希 撮影/廣瀬靖士

 最近見て、覚えている夢は?

この間、楽屋で寝ていたとき、開けた口にずっと水を流し込まれる夢(笑)。すごく苦しくて、ハッと起きたら現実だ、って。あと、周りの俳優さんたちから、セリフを忘れる夢を見るとよく聞くんですけど、私は見たことがなくて。

 でも、1回だけ舞台を降ろされる夢を見ました。すごいリアルで、起きたときに本当に降ろされているんじゃないかと思ったくらい。ちょうど蜷川(幸雄)さんの稽古場に入っていたときなんですけど(笑)」

 4月には舞台『エレクトラ』(東京・世田谷パブリックシアターほか)が幕を開ける。そのあと、久しぶりに休みをもらえると笑う高畑。

何もしない、ということをやってみよう!と(笑)。けっこうツメツメの日々が続いていたので、“あれ、今日1日何もしなかった”と夜に思い返せる日があってもいいかも、と思います。

 最近は、来たものとどう向き合うかをずっと考えていたので、1回リセットして自分の中から“これがやりたい”という欲を出すためのショック療法です(笑)」

<作品情報>
『ひるね姫~知らないワタシの物語~』
 ’20年、東京オリンピック開催の3日前。突然、父親が警察に逮捕され東京に連行された。次々と浮かび上がる謎を解決しようと、娘のココネ(高畑充希)は幼なじみのモリオ(満島真之介)とともに東京へ向かう決意を。その途上、彼女はいつも見ている夢が、事態を解決する鍵であることに気がついて──。3月18日公開 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他、全国ロードショー