菅田将暉

 真っ赤な衣装に身を包んで全力疾走し、髪を振り乱してギターをかき鳴らす─。熱唱するのは俳優の菅田将暉だ。

「6月7日にCD『見たこともない景色』が発売されます。彼は映画『キセキ-あの日のソビト-』でGReeeeNを演じたときに4人組のグリーンボーイズとしてCDを出していて、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)では生歌を披露。本物に負けない歌唱力が話題になりました。今度はソロデビューですから、ミュージシャンとしての活動にも期待が高まっています」(テレビ誌ライター)

 au『三太郎シリーズ』の“鬼ちゃん”で有名な菅田がサッカー日本代表応援ソングである『見たこともない景色』をCMで披露し、大きな話題を呼んでいる。

「菅田さんは若手俳優の中で演技力ではナンバーワンと言われています。女装男子からサイバーテロリストまでどんな役でも演じ、作品ごとに別の顔を見せることから“カメレオン俳優”とも呼ばれていますよ」(テレビ局関係者)

 いよいよ俳優の枠を飛び出して、音楽でも才能を発揮しようとしている。しかし、最初から華々しい活躍を見せていたわけではない。

“2番手”だった菅田を変えた映画監督との出会い

「'08年に『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』のファイナリストになったんですが、結局、無冠に終わりました。その年は例年より個人賞が多く、ファイナリスト12人のうち9人は何らかの賞をとったのに、菅田さんは残りの3人のほうでした。悔しかったでしょうね」(芸能プロ関係者)

 翌年に『仮面ライダーW』(テレ朝系)でシリーズ最年少主演を果たすが、W主演でどちらかというと2番手。

「イケメンとして人気爆発ということはありませんでしたね。彼はテレビドラマにも出演しましたが、評価を高めたのは映画での存在感です。'13年には青山真治監督の『共喰い』で暴力的な血を引く高校生を演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました」(映画ライター)

 この映画で、菅田は「一生この世界で生きていきたい」と感じたという。

「監督からは指の動きひとつにいたるまで、“ミリ単位”の演技指導を受けたそうです。菅田さんは記憶がなくなるほど集中して、監督に食らいついていました」(映画配給会社関係者)

 青山監督との出会いが彼の役者人生を変えた。

「翌年には、映画『そこのみにて光輝く』で貧しい家庭に暮らす純粋で粗暴な青年を体当たりで演じ、鬼気迫る演技で実力派俳優と認知されました」(前出・映画ライター)

 '14年には故・蜷川幸雄さんが演出した舞台『ロミオとジュリエット』で主演。大御所たちから愛されるのは、演技力はもちろんのこと、彼の人間性にもあるらしい。

10代のころから、菅田さんは監督や周囲のスタッフに対してものすごく礼儀正しかったのを覚えています。丁寧に演技指導をしてもらえたのは、いつも真剣な態度で役に臨んでいたからでしょうね」(制作会社スタッフ)

 先輩からも好かれるので、コミュニケーションを深めるうちに演技力もメキメキ向上。人当たりがいいのは、どうやら父親譲りらしい。

ビジネスコンサルタントの父に影響されて

'16年は“鬼ちゃん”のキャラで人気者に

菅田さんのお父さんは、ビジネスコンサルタントをしている方。職業柄いろいろな業界の知り合いが多く、普段から社長さんたちの集まる食事会やパーティーによく連れていかれたそうです。

 そこで自然と社会性を身につけ、大人との接し方を覚えたんですね」(芸能プロ関係者)

 世渡り上手ということではなく、あくまでも礼儀正しさがベースにある処世術なのだ。周りの人間が応援したくなるから、活躍の場がどんどん広がっていく。

「4月からは『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティーを務めます。昨年12月に単発で菅田さんのオールナイトを放送したら、リスナーからのメールが12000通も届く大反響。

 お笑いが大好きだという彼だけに、届いたメールにキレッキレの関西弁でツッコんでいました」(ラジオ局関係者)

 番組ではゲストを呼んでトークをしたいと意欲を燃やす。芸能人ではなく、洋服作りをしている友達を呼びたいと話すのが菅田らしいところ。

「菅田さんが着ているのは、いつも一風変わった服。舞台挨拶などでは、奇抜な衣装が毎回、話題になります。ミシンや裁縫が得意で、パタンナーの友人とプライベートで服作りをするほどのファッション好き。個人ブランドの立ち上げ計画が報じられたこともありましたね」(ファッション誌ライター)

 仕事ではなく、単に服が好きだからやっているのだ。

映画『キセキ−あの日のソビト−』では同じ事務所の先輩である松坂桃李と兄弟役を演じた

何でもできちゃうから、趣味のレベルを超えてしまうんですね。俳優業以外にもさまざまな業界からオファーが届いているようです」(前出・芸能プロ関係者)

 音楽もそのひとつ。ただ、以前に雑誌のインタビューで“自分の曲を出したくないですか?”と聞かれたときには、消極的な発言をしていた。

《それは全くないです(笑)音楽はほんと趣味です。(中略)最近、ギターにすごくハマってるんで。この人のこの曲弾けたらなあみたいなのを独学でやってるだけですね》

 ところが、今回のCDデビューに際しては、

「自分の書いた言葉を、自分から出てくるメロディーで、自分で演奏してパフォーマンスできるようにするのが目標」

 と、以前とは打って変わって真逆の反応を見せた。

 どうやら心境に大きな変化があったらしい。

「映画『何者』でバンドマンの大学生役を演じたときは、現役のバンドマンたちから指導を受けました。プライベートでも交流を深めるうちに創作欲が高まっていったようですね」(映画スタッフ)

 二階堂ふみとの路上ライブが報じられたり、太賀とバンドを組んで練習したりもしているという。3月初旬には仲間たちと作ったショートムービーを突如、ネットの動画サイトにアップするなど、プライベートの創作活動に明け暮れているようだ。

マンガを読むときは、“これを映画にしたら面白そう”と考えていると話していました。将来は映画監督に挑戦して、クリエイターの座を狙っているのかもしれません」(前出・芸能プロ関係者)

 菅田監督の映画を見てみたい気もするけど、まずは、俳優の仕事をしっかりこなしてね!