ガラッと環境が変わり、イチから築く人間関係も増え、ナーバスになる新年度。SNSで悪気なく、あるいはほんの出来心でやってしまった行為が、思わぬトラブルを招くことも。ネットマナー”ネチケット”に反する、NG言動の数々を今すぐチェック!

※写真はイメージです

祝・新1年生! 晴れ姿を撮りまくり、SNSに上げまくり

 わが子の入学写真を撮ったら、さっそくSNSで公開♪ お友達とのツーショットもあるけれど、可愛く撮れてるし、ま、いいでしょ……なんて悪気なくやりがちだけど、

「相手の子どもの親から同意を得ていなければ、プライバシー侵害や肖像権侵害にあたる場合があります」

 と、法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士。 

 もし、相手の親から訴えられて民事裁判に発展したら、画像の削除請求のほか、損害賠償まで求められる可能性もあるという。

賠償額は、どの程度の損害があるかで決まります。一般人の写真であれば膨大な被害があるとは認められにくく、数千~数万円ほどと、そう高い金額になることはないと思います。訴訟費用を考えると、相手側もわざわざ裁判ざたにすることは少ないかもしれませんが、人間関係の修復は難しくなるかも

 よい人間関係はプライスレス。写真投稿は慎重に!

1人1枚限定の割引クーポン、アカウントを複数作ったら!?

「無料で配布されるクーポンなら、1人1枚と決められたものを複数取得するだけでは罪になりません。ただし、クーポンを使い割引を受けると、実際には得られるはずがなかった利益を得たとして詐欺罪にあたる可能性があります。発行先から訴えられたら、本来の1枚分以上に割り引かれた金額を損害賠償請求されたり、慰謝料を求められたりする場合も」(清水弁護士)

 ちなみに、第三者の名義で抽選に応募するだけなら、不法な利益を得たことにはならず、当選しても詐欺罪にはあたらない。

 しかし、レイ法律事務所の佐藤大和弁護士によると、

「コンサートなどのチケットであれば、入場拒否をされても文句は言えない。人気のあるコンサートでは最近は身分証明書を提示させたりもしますので、ごまかしがききにくいでしょう

 目先のお得感につられると、痛い目にあうかも。

【拡散希望】とあったから……デマとは知らず回しちゃった

《工場が爆発! 有害物質が発生》というメールが。“ほかの人に知らせて”と書いてあったので、急いで友人に送信。ところが、あとでデマだったことがわかって──。

 佐藤弁護士が解説する。

ウソと知って風説を流して人の業務を邪魔したら、偽計業務妨害罪で逮捕される可能性があります。3年以下の懲役または50万円以下の罰金と、罪は重いですね。損害賠償を請求されるおそれもある。この場合、ウソと知っていてわざと回したのと相手の身を案じて回したのとでは額が変わってきます。また、メールを受け取った側にも軽々と信じたことに相当な過失があると認められれば、過失相殺で減額されるでしょう」

 実際に、熊本地震の際に《動植物園からライオンが放たれた》とツイッターでデマを流し、園に100件以上の問い合わせが相次いだため逮捕された会社員の例もある。

「“学校に爆弾をしかけた”などのデマも同じ罪に問われかねません。情報発信の前には、必ず確認を!」

嫌いな女のリア充ブログ、匿名でディスったらどうなる?

 な~んか鼻につくママ友のブログに「こいつはヤリマン」と悪口を書き込み。

「アウト! 公然と、つまり、内容が人から人へと広がるおそれがあるところで誹謗(ひぼう)中傷を浴びせれば、名誉毀損罪か侮辱罪で罰せられます」

 と清水弁護士。

 両方とも相手の社会的評価を低下させたといえる場合に成立するが、前者のほうが罪は重い。どちらにあたるかのポイントは、具体的な「事実を摘示」したかどうか。

例えば、“〇〇氏はヤリマンでこの間も××氏とラブホテルに行った”などと明記したら、それが真実かどうかにかかわらず名誉毀損になりえます。単に“男たらし”と言うだけなら侮辱の範囲とされるでしょう。また、民事裁判で削除請求や損害賠償請求をされることもあります」

 でも、匿名だし、私が犯人だってわからないよね?

「とんでもない! 相手が弁護士などを立て開示請求をすれば、誰が書き込んだか判明します。ネットの書き込みに匿名は存在しないのだと覚えておいてください」(前出・佐藤弁護士)

<プロフィール>
◎法律事務所アルシエン・清水陽平弁護士
インターネットトラブルをはじめ労務問題や債権回収、男女問題など多様な案件に携わる。企業や専門家に向けての講演にも精力的

◎レイ法律事務所・佐藤大和弁護士
芸能関係や恋愛トラブルを得意としメディアにも多数出演。「子どもを被害者にも加害者にもさせない」信念で法教育活動にも注力