矢本悠馬 撮影/佐藤靖彦

 今川の手の者に襲われ、直虎(柴咲コウ)が死を意識したまさにそのとき、暗闇を引き裂いた一筋の矢――。

「直虎さんを助けにいったのは、殿を守るというより井伊谷の中でいちばんの強者である自分が、敵地に乗り込みに行く女子を守れなくて何が武士だ、という気持ちからですね」

 大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第15話(4月16日放送)で、見せ場を作った中野直之役の矢本悠馬(26)。

 井伊家の重臣だった父・直由(筧利夫)が戦で命を落としたあと、中野家の家督を継いだが、主君・直虎とはことあるごとに衝突している。

「助けたけど、まだ彼女を殿として認めたわけじゃないんですよ。直之自身のプライドのため、というのが大きいかもしれません」

“女が城主になんて”と、ことあるごとに直虎にキレる直之だが、武人としての実力は折り紙つき。ふたりの間で板挟みの家臣・六左衛門(田中美央)は、いつもハラハラ…… (c)NHK

子役時代は「やらされていた」

 愛嬌たっぷりの童顔が印象的な彼は、13歳のころ、子役として朝ドラ『てるてる家族』、映画『ぼくんち』に出演。約8年の休業後、’11年に大人計画に参加。役者としての再スタートを切った。

「子役のときは親にやらされていたという気持ちが大きくて、1回やめているんですよ。あのときは本当に役者がイヤで。2年前に映画『ちはやふる』や主演ドラマ『ブスと野獣』の仕事をいただいてから、仕事が楽しいと思えるようになったんです」

 ちょっと大人になって、仕事に対する責任感が出てきたのかな、と笑う矢本。今回出演している大河の現場では、ベテラン勢に囲まれ、役者としての心構えをいろいろ教わっているという。

「この前、柴咲さんやムロ(ツヨシ)さん、小林(薫)さんと飲んだときですけど、小林さんの言葉にハッとさせられて。

 僕の演じている役に、つきたくてもつけなかった役者は何人もいるし、エキストラとして支えてくれる役者さんもいる。みんなの“欲”をお前は背負っているんだという話を聞いたとき、めちゃくちゃ気合が入りました」

 いただいた仕事に恵まれて、運だけでここまで来た、と話す矢本だが、

「再スタートを切ってから、今年で6年目なんです。たとえれば、小学校1年生。今年からは役者として新たな気持ちで学んでいこうかと。このタイミングで大河に出させていただいたのは、それこそ“運がいい”と思っています(笑)」

 今の楽しみを聞くと、意外な一面(!?)が。

「僕、乃木坂46と欅坂46が好きなんですけど、彼女たちのバラエティー番組が毎週日曜日と月曜日にあるんです。それを見るのが楽しみで、仕事をガッツリ入れてもらっています。仕事しているほうが時間が早く進むし、すぐに日曜日が来るじゃないですか(笑)。あと、こんど乃木坂46のメンバー、衛藤美彩さんが写真集を出すんですけど、それが楽しみです!」