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大脳を休ませるために眠くなる

 起きている間、脳は休むことが許されません。そのため、脳の動きを正常に保つ仕組みとして、大脳を休ませようとする働きがあります。その働きは単純で、大脳に休息をとらせるために身体を眠らせる…というものです。「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、大脳にとって睡眠不足は一大事。大脳の疲れは眠ることでしか回復できないからです。

 起床後、時間が経過するにつれ、少しずつ睡眠物質がたまっていきます。その蓄積度合がピークに達すると、大脳を休ませるための眠気がやってきます。カフェインが含まれているコーヒーや栄養ドリンクなどをとることで、睡眠物質の働きを止めることもできますが、それは自然の摂理に反し、脳にはとても悪いことです。その場しのぎで眠気を撃退することができても、疲れは着実に脳に溜まっていくのです。

 きちんと時間をとって眠り、睡眠物質を減らすことでしか、脳を回復させることはできないのです。

当記事は「BUSINESSLIFE」(運営:ビジネスライフ)の提供記事です

午後の眠気に効くのは仮眠

 そうはいっても、眠くなったからと言ってその場で眠るわけにはいきませんよね。仕事中、特に昼食後の業務など、ひどい眠気に悩まされているという方も多いのではないでしょうか。

 そこで有効なのは、ズバリ「仮眠」。睡眠物質の蓄積が上限に達し、強制的に身体を眠らせる働きかけが起こる前に、睡眠物質を減らしてしまえばいいというわけです。眠気を感じる前に仮眠をとり、眠気を調整することができれば、午後も眠たくならずに業務に集中できるのです。

 仮眠の時間にもっとも適しているのは、15分~ 30 分。5分以内では睡眠物質を減らすことができず、30分以上では眠りすぎてしまったり、夜眠れなくなってしまう可能性があります。

 人目があるのでどうしても仮眠がとれないという人は、椅子に座って目を閉じるだけでも、眠気を減らす効果が期待できます。休憩時間にスマートフォンやパソコンの画面を見ていると、脳を休ませることができません。大切なのは視界を遮断すること。目をつぶって安静にしているだけで、眠気を軽減できるので試してみてください。

 自分のデスクで眠れない人は、休憩室や屋上など、人目を気にせずリラックスできる場所を見つけておくといいでしょう。

上手な仮眠の取り方は?

「気持ち良く起きて仕事を再開するために、仮眠を取りなさい」といわれても、15 分間で果たして目覚められるのか。そういった不安を抱えている人も多いと思います。実際、徹夜中にどうしても眠くなってしまって、ちょっと寝るつもりだったのに気づいたら朝になっていて、仕事が終わらなかった……なんて苦い経験をした人もいるはず。

 熟睡するコツがあるように、仮眠にもコツがあります。あまり身体にはいい話ではありませんが、睡眠をわざと浅くするのです。上質な睡眠を取るための方法の反対を実行すればいいということです。

 具体的に、仮眠を浅くする方法は4つあります。

1.  部屋を明るくしたまま寝る

 仮眠時に部屋を暗くしてしまうと、メラトニンの分泌を誘い、熟睡してしまう可能性があります。ですから照明の明るさは普段よりも少し暗めか、もしくは通常の半分くらいの明るさが適切です。逆に明るすぎるとせっかくの仮眠で疲れが抜けきらないので、煌々と電気のついたところで寝るのはやめましょう。

 オフィスなど電気の調整ができない場所では、机にうつ伏せたり、アイマスクを利用するなどして、光を遮るようにして寝ると良いでしょう

2.  寝るときの態勢に注意

 90分前後の長い仮眠をとるときは、横になることをおすすめします。しかし、15分で起きようとする場合は、完全に横になってしまうよりは、少し緊張感が残る体勢の方が目覚めやすくなります。椅子に座ったまま背もたれに身を預けたり、机に顔をうつ伏せるといった体勢が良いでしょう。この体勢では疲れを完全にとることは難しいですが、眠気をとり除くには十分です。

 なお、仮眠をとる際には、なるべく静かなところで眠るようにしましょう。

3.  15分または90分前後のサイクルで仮眠を取る

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 15分以上寝てしまうと「うとうと」という眠りの入りから、「すやすや」という深い眠りに入る段階にまで突入してしまいます。15分以上寝たいのであれば、40分とか50分という深い眠りの最中に起きるのではなく、ノンレム睡眠とレム睡眠が入れ替わる90分前後で起きるようにした方が、眠気が残らず気持ち良く起きることができます。

4.  仮眠の直前のタイミングでぬるめの温度でカフェインをとる

 個人差はあるものの、数十分後にはカフェインの覚醒作用によって、目を覚ましやすくなります。

 いずれにせよ、眠る前にタイマーをかけるのを忘れないようにしてくださいね。

 上手な睡眠方法があるように、上手な仮眠の方法もあります。いざというときに、うまく使い分けてみてください。