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構想5年。小栗自らCPに企画を打診

「出演者、スタッフ一同、本気で取り組んだ作品です。その熱意が画面から伝わったのでしょうか、非常に大きな反響がありました。主演の小栗君も、初回の放送後に“連続ドラマに革命を起こしましたね”と、感想をもらしていました」

 と話すのは、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系 火曜夜9時~)を制作する関西テレビの笠置高弘チーフプロデューサー。

 直木賞作家の金城一紀が小栗旬を主役に据えて5年前から構想を練り、原案・脚本を手がけたアクションエンターテイメント。

 異色の警察ドラマだが、笠置CPは、小栗から今作の企画の話を持ちかけられたという。

大変に魅力を感じたのですが、映像化にはためらいがありました。単なるサスペンスや犯人捜しの刑事ドラマではなく、非常に骨太で、考えさせられるような作品。視聴者に受け入れられるだろうかと思いました。予算も相当かかります(苦笑)。しかし、昨今の国際情勢や国内の諸問題から、この先の日本に不安を感じている人も多い。日本は誰がどうやって守っていくのか、やる意味があるのではないか、と考えました。

 主演の小栗君に匹敵する役者さんは、西島秀俊さんしかいないと思い、お願いしたところ、“やりましょう”と言っていただき、制作を決断しました」

 小栗が演じる主人公の稲見や、西島が演じる田丸が所属する公安機動捜査隊特捜班は、常識では測れない事件に脅かされ、高度な政治的案件を扱うとともに、ときには国家の“汚れ仕事”もこなす組織。敵となるのは、国家転覆を企むテロや新興宗教団体、軍事スパイ、麻薬密売組織、そして、本来は国民を守るべき政治家たち─。

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小栗&西島、規格外の練習によるアクションは圧巻

 毎回、登場する派手なアクションは大きな見どころ。初回では、爆弾を抱える犯人もろとも、新幹線から川に飛び込むシーンが話題になった。

「日本での放送に先駆け、フランス・カンヌで毎年、開催される国際映像コンテンツ見本市『MIPTV』では、今回、初めて企画された『アジアワールドプレミア』の第1作目として上映されたのですが、スピード感のあるアクションシーンが評判で、(映像を)早回ししていないことに、とても驚かれました」(笠置CP、以下同)

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 小栗と西島は1年半以上前から身体作りやアクション練習に取り組んで撮影に臨んだ。小栗、西島だけでなく、特捜班メンバーを演じる田中哲司、野間口徹、新木優子らキャストもドラマの撮影日とは別に設けられた50日にも及んだアクション練習をこなしたという。

「それぞれの出演者がどういうアクションをするのか、事前に専属のアクションチームによる“完成形”をビデオに撮って、見ていただきました。出演者のみなさんには、その完成形ができるまで、特訓してもらいました。

 小栗君は、この先の物語で大がかりなアクションがあるのですが、撮影翌日に、“昨日、交通事故に遭ったのか?”と思うほど、体力を消耗したようです」

スカッとはしない石を投げた池の波紋

見終わった後、ある意味スカッとするドラマではありません。たとえて言うなら、池に石をポンと投げ、波紋が広がっていくような作品です。何を感じるか、どう思うか。こう見てほしいというものはありませんので、自由に受け止めていただければ」

 予定調和もハッピーエンドもない異色作だけに、唸ったり、考えさせられたりすることも。

「稲見や田丸、特捜班のメンバーは全員、経歴に傷を持つ身です。彼らがひとつになっていく様子や日本を守るというのはどういうことか苦悩する姿も描いています。1話完結なので、今からでも十分に楽しんでいただけると思います」

稲見(写真上)と田丸(同下)は、冷静かつ確実に被疑者を制圧し、危機を回避する(C)フジテレビ