吉柳咲良 撮影/高梨俊浩

「最初のお仕事で『ピーターパン』の主役をいただくなんて……。ボイストレーニングをやったり、劇中の歌を聴いたりすると、私がこれを舞台で歌うんだ、と何か不思議な感覚が湧きあがってきます」

 初演から今年で37年目を迎えたブロードウェイミュージカル『ピーターパン』で、10代目ピーターパンとして舞台に上がる吉柳。昨年のホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞した13歳。同グランプリ受賞者で主演を務めるのは、初代ピーターパンの榊原郁恵以来。

「10代目という節目で、ピーターパンを演じられるのはうれしいのですが、歴代の方たちがすごい先輩ばかり。この方たちのあとを……となるとちょっと不安がありました」

 8代目ピーターパンで、朝ドラ『とと姉ちゃん』ではヒロインを務めた高畑充希と会ったとき、激励の言葉を受けたという。

「高畑さんの舞台を観劇させていただいたとき、“つらいこともあるけど、頑張ってね”と言っていただきました」

 ピーターパンといえば、6メートルの高さをワイヤーで“飛ぶ”フライングが見どころのひとつ。

「私、高いところ大好きなんです! 遊園地でも絶叫マシンが好きだから、ジェットコースターははずせません(笑)。フライングのシーンは早くやりたくて、たまらないです

 これからの芸能活動に備え、今年の4月から上京。都内の中学校に通い始めた。女優を目指すきっかけについて、

「小さいころからドラマとかを見るのが好きだったんです。いつか自分もこんなふうにテレビに出られたらな、って。そんな夢をお母さんに話したら、スカウトキャラバンが開催されることを見つけてくれて。じゃあ受けてみよう、って」

 憧れの女優は、所属事務所・ホリプロの先輩、石原さとみ。将来はどんな女優になりたい?

「テレビにたくさん出ている女優さん(笑)。私自身がテレビを見て芸能界に憧れたように、私が出演している作品を見て、すごいな、こうなりたいなって、小さい子たちに思ってもらえたら幸せです

咲良ってこんな女の子Q&A

Q. 好きな食べ物は?

A. おみそ汁とセロリ! 洗って、そのままマヨネーズをつけて食べるのが好きです。スーパーで、好きなお菓子選んでいいよ、と言われるとセロリを担いでくるくらいです(笑)

Q. 嫌いな食べ物は?

A. 貝類です。あさり、しじみ、全部食べられません。これはおみそ汁に入っていてもダメですね(涙)

Q. 今、いちばん欲しいものは?

A. BIGBANGの新作ライブDVDです。私、ヒップホップをやっていたので、メンバーの踊りがメチャクチャすごくて。以前に買ったDVDは本当に毎日見ていました

<公演情報>
青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』 東京国際フォーラム ホールCにて、7月24~8月3日。そのほか、静岡、大阪でも公演。チケットなど詳細は、ホリプロチケットセンター
http://hpot.jp/stage/peterpan

あなたは誰の世代? 歴代ピーター勢ぞろい

 オリジナルはディズニープロダクションの25周年記念作品アニメとして、1953年にアメリカで公開された映画『ピーター・パン』。日本では’55年に公開され、同年、ブロードウェイでミュージカル化もされた。

 日本初演は’81年、今は取り壊してしまった新宿コマ劇場25周年記念作品として。主演のピーターパンを榊原郁恵が演じ、ワイヤーアクションを使った、日本発のフライングを披露した。

■10代目・吉柳咲良(2017年~)

10代目・吉柳咲良(2017年~)

「人生初のショートカットです。ウイッグですけど、なんか男の子みたいですね(笑)。家族からは、この写真は弟にそっくりって言われました。実は男の子になるのがひとつの夢だったので、叶った感じがしてうれしいです」(吉柳)

■9代目・唯月ふうか(2013年~2016年)

9代目・唯月ふうか(2013年~2016年)

 ’12年にホリプロスカウトキャラバンで、審査員特別賞を受賞し、ピーターパンに大抜擢になった。

■8代目・高畑充希(2007年~2012年)

8代目・高畑充希(2007年~2012年)

 15歳から6年間ピーターパンを務めあげ、ファンの間では“伝説”と言われるほど人気を誇った高畑。朝ドラヒロインも経験し、女優として舞台だけでなく映像やCMなど活動の場を広げている。

■7代目・宮地真緒(2005年~2006年)

7代目・宮地真緒(2005年~2006年)

 ’02年、朝ドラ『まんてん』のヒロインを演じてブレイク。舞台初挑戦が『ピーターパン』で、ドラマ、舞台ともに初出演が初主演に。

■6代目・中村美貴(2003年~2004年)

6代目・中村美貴(2003年~2004年)

 主役オーディションでグランプリを受賞し、『ピーターパン』で芸能界デビュー。現在も舞台を中心に活動している。

■5代目・笹本玲奈(1998年~2002年)

5代目・笹本玲奈(1998年~2002年)

 現在もミュージカル女優として活躍する笹本。’10年の『ピーターパン』30周年記念公演では、高畑とダブルキャストで、8年ぶりにピーターパンを演じた。

■4代目・宮本裕子(1995年~1997年)

4代目・宮本裕子(1995年~1997年)

 ’90年に『ピーターパン』にティンカーベル役で出演。その後、’95年から主役のピーターパンを演じる。

■3代目・相原勇(1992年~1994年)

3代目・相原勇(1992年~1994年)

「ピーターパンを演じるために芸能界に入った」という相原。’89年『三宅祐司のいかすバンド天国』の司会でブレイクし、念願のピーターパンに抜擢され夢を叶えた。

■2代目・沖本美智代(1988年~1994年)/沖本富美代(1988年~1997年)

2代目・沖本美智代(1988年~1994年)/沖本富美代(1988年~1997年)

 双子の姉妹で、新体操の選手として全国中学校体育大会、国体、高校総体などに出場。榊原のあとを継ぎ、ダブルキャストで主役を演じた。

■初代・榊原郁恵(1981年~1987年)

初代・榊原郁恵(1981年~1987年)

 第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞した、言わずと知れた初代ピーターパン。7年間、主演を務めて人気を博した彼女は、今年でデビュー40周年を迎える。