「僕が通っていた小学校は、山の斜面に校舎、体育館、運動場と段になるように立っていたんです。だから、休み時間に運動場に行くまで、ちょっと時間がかかる。それでも、みんなでバスケットをしに行っていました。コミックの『SLAM DUNK』世代だから、サッカーではなくてバスケでしたね」

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 デビューして10年。映画『きみはいい子』(6/27公開)で、初の教師役に挑戦した高良健吾。"先生として存在できるか、生徒と接することができるか、最初は不安しかなかった"とは思えないほどクラスになじみ、小学校の初々しい新米教師・岡野匡として苦悩し、奔走する。

 教室で騒ぐ生徒たちに岡野が出した宿題「家族に抱きしめられてくること」の"抱きしめる・抱きしめられる"ことは、今作で問題を抱える大人や子どもたちが一歩を踏み出すきっかけにもなっている。

「もし、小学生の僕が同じ宿題を出されたら、黙っているかもしれないです。家族に抱きしめてもらったとしても"うれしかった"と、言えなかったと思う。恥ずかしがる必要ないのに。それはきっと、家族だからこその難しさですよね」

 ちなみに、両親に抱きしめられた記憶ってある?

「僕の両親は恥ずかしがり屋だから、小学生になってからはなかったと思います。でも、それ以上の"常に僕と向き合う"ということをしてくれました。抱きしめることも大切だけど、その前に必要なのは向き合うこと。しっかり向き合わないと、抱きしめることもできないですし」

 岡野を演じて"子どもと目線を合わせて話すことが大切だと感じた"と語る。さらに、

「この作品のおかげで、自分の子どもと会うことが楽しみだと思えるようになりました。いままで、子どもがいることを想像できなかったんです。

 でも、今回、共演した子どもたちが、みんな本当にいい子だったので、自分の子どもも生まれたら、こういうふうにのびのび育ってほしいなと、思えるようになりました。みんな親になると"元気だったらいい"と言っているのを聞くけれど、本当にそうだと思います」


撮影/佐藤靖彦