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 ドラマ『偽装の夫婦』(毎週水曜・夜10時~、日本テレビ系)に出演中の佐藤二朗。連ドラの名脇役特集で取材をお願いすると、こんな答えが。

「ものすごく光栄ですよ。たまに取材で“名脇役っていうくくりなんですけど……いいですか?”って聞かれることがあるんですが、失礼になんて当たりません。むしろ、そう思う俳優っているのかなぁ? 僕は全然、うれしいですよ」

 人間嫌いをやめたヒロ(天海祐希)とゲイの超治(沢村一樹)の偽装結婚に打たれた終止符。1年を経て再会した2人。そんな中、ヒロに恋心を抱く、イトコで売れないマジシャンの天人(佐藤二朗)は作品のオアシス。

「俺と天海さんの2人のシーンがあった日、近所の飲み屋で飲んでいたら、天海さんからすごい熱い長文メールが来て。“ああいう魂のこもった芝居をしてくれると、疲れも吹っ飛びます”と。そういう人が主演の中でやれることも非常にうれしい。正直ね、こっちも姉御のためにいい芝居しなきゃって思いますよ」

 小学生のころから俳優になると信じ込んでいた。と同時に、俳優でメシが食えるわけがないという矛盾した気持ちも。

「養成所に2つ通ったけどダメで。“やっぱり役者は無理だ”“じゃあ、趣味で役者をやろう”“いや、やっぱり無理だ”を行ったり来たり。われながら、20代の自分はなんて優柔不断なヤツなんだと思います(笑い)。26歳のときにきっぱりと足を洗って、小さな広告代理店の営業になったんですが、やっぱり俳優をやりたくて。土日の余暇を利用して、養成所時代の仲間と立ち上げたのが『劇団ちからわざ』でした」

 運命の出会いがあった。1人は演出家の鈴木裕美。彼女の属する『自転車キンクリート』で鍛えられた。そして客席から“誰だコイツ?”と佐藤に注目したのが堤幸彦監督。本木雅弘主演のSPドラマ『ブラックジャックⅡ』('00年)の“医者A”に起用された。その縁で本木と同じ事務所への所属が決まったのは、31歳のときだった。

「その後もすぐには俳優だけじゃ食えなくて。“課長A”とか“社員B”みたいな役をやった経験は、ほかの俳優さんに比べてかなり多いと思います。道路整理やテレフォンアポインターのアルバイトをやっていました。“あれっ? この2~3か月はバイトせずに食えている!”となったのは33歳のときだったかな。いまだにバイトせずに演技のことだけを考えて生活できるのが、うれしいですから」

 仕事を離れた息抜きは、お酒と4歳を迎える息子。切れ長な目をさらに細める。

「昔は朝8時くらいまで際限なく飲んでいましたねー。よく嫁に怒られていたけど、最近は3~4時間、早く帰っています(笑い)。息子をお風呂に入れたり、絵本を読んだり。読み聞かせは本業ですからね! でも、お母さんが読むほうが喜ぶんです(苦笑)。嫁の好きなところ? すべてに決まっているじゃないですか!」

撮影/佐藤靖彦