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 連続テレビ小説 『とと姉ちゃん』で、ヒロイン・常子(高畑充希)の親友、綾を演じている阿部純子。

「朝ドラに出ている私を見て、今までお世話になった方々がたくさんメールをくれました。私自身、もっともっと頑張らなきゃいけないと思っています」

 朝ドラ初出演だが、女優としては吉永淳という名前で’10年に映画『リアル鬼ごっこ2』でヒロインに抜擢。’14年公開の『2つ目の窓』ではサハリン国際映画祭主演女優賞、高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞した、実力派の女優だ。

 実は彼女、この受賞のあと女優業をお休みして1年間、NYに留学していた。

「どうしても語学と演技の勉強がしたくて。6人部屋の寮に入って、勉強をしながら同室のみんなとアメリカを楽しんでいました」

 そんな中、『とと姉ちゃん』のオーディションの開催をNHKのホームページで見て、NYにいたときに応募したという。ヒロインには届かなかったが、そこで手にしたのが常子と女学校で出会う綾という役。心機一転、本名の阿部純子での復帰となった。

「私には本当にもったいないくらいの役なので、この作品に関われるだけでうれしいです。ヒロインを演じている高畑さんの背中を見ていると、すごい憧れの気持ちはありますが、今の私はひとつずつ“山”を越えていくのが精いっぱいなので、まずは綾を生き抜きたいと思っています」

 女優として再始動を果たしたが、留学して以前と変わったことは?

「自分ではわからないですが、学校の友達にはキラキラするようになったね、と言われました(笑) 。それが一番うれしかったです」

 ドラマでは戦後、お嬢さま育ちでセレブだった綾が生活にも困窮するくらいになっているが……。

「時代に振り回されているぶん、すごく過酷な人生。でも、私は綾を見ていて本当の女性の力強さというか、芯がどんどん強くなっていく感じが共感できる部分だと思っています」

 女手ひとつで娘と母を支え、常子が出版する『あなたの暮し』にも少しずつ関わってくる綾。まずは和服をワンピースへと仕立て直す『直線裁ち』の記事の手伝いを。

「私たちの時代、お着物はすごく高価なイメージじゃないですか。それをワンピースにしちゃうなんて、もったいないと思ったんですけど(笑)、すごく着心地がよかったです」

 常子と再会してからの、綾の見どころは?

「どんどん自分の足で地面を踏みしめて歩いていく、その過程を見ていただきたいです。すごくつらい時間を過ごした経験も、彼女を強くしていると思っているので、綾さんの表情がどんどん変わっていくのを見ていただければうれしいです」

 “卒業”以来の再会に高畑は?

「もちろんヒロインなのでお忙しいとは思いますが、そんな姿は見せず、いつもリラックスされている印象です。役の常子さんとしてみると、やっぱりおてんばで、お茶目ですよね。私は頑張ろうと思いすぎて、爪先がピリピリしちゃうときもあるんですけど、高畑さんと一緒にいると“もっと力を抜いていいんだな”と思えて。役柄を超えて、一緒にいていいパートナーです」

 小橋家の影響で肉食になったとか?

「この前、撮影が終わってから、(相楽)樹ちゃんと(杉咲)花ちゃんと、ティラミスがのったかき氷を食べにいったんです。みんなで、季節感のある食べ物を楽しむのは好きです。小橋家のみなさんと食事するようになってから、食事の好みがちょっと変わってきたかも。

 もともと魚料理が好きだったんですけど、みなさんの影響で“肉食”になってきています(笑)」

撮影/佐藤靖彦