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映画『無伴奏』の舞台挨拶

 その色気で女性ファンを骨抜きにしている斎藤工。実は、映画館のない地域に赴き、子どもたちに劇場体験ができる場所を提供する、移動式映画館『シネマバード』プロジェクトを立ち上げている。5月15日に大分県別府市で行われた『ブルーバード劇場』でのトークショーについて取材した。

 14、15日の2日間にわたって大分県豊後大野市の明尊寺で行われた移動式映画館『シネマバード大分』が終了し、15日の昼過ぎには、同じ大分県の別府市に移動した斎藤。65年前から営業している老舗映画館の『ブルーバード劇場』で、トークショーを行った。

 館長の岡村照さんいわく、「10日に連絡をいただき、急きょ15日にこちらにお越しいただくことになったんです」ということだが、彼にとっては念願の訪問だったよう。

「昔ながらのフィルム上映ということで、斎藤さんが映画ライターさんに“いつか行きたい映画館です”と語ってくれていたそうです。また、たまたま彼が出演している映画『無伴奏』を上映していたことから、うちにいらしていただけたみたいです」(岡村さん)

 宣伝は2日前に貼り紙をする程度にとどめたが、補助席もあわせて90席分の整理券が10分ではけてしまう事態に。午前11時以前には配布しないとアナウンスしていたにもかかわらず、朝7時ごろから並ぶ人もいた。

「トークショーは『無伴奏』の監督の矢崎仁司監督や、映画ライターさんが登壇されました。30分くらいで、震災の話も。熊本ほどではないものの、ここも被災した地域。“1人でも来てくれる人がいたら困るから”と震災の翌日から営業したうちの劇場について、お褒めいただきました」(岡村さん)

 実は岡村さんは早くに夫を亡くしている。以来45年間、チケットの販売や上映、清掃など、時折、娘の手を借りつつも、ほぼひとりで行っている。現在85歳なのだが……。

「ライターさんが私の年齢を強調してお話ししてくださったんです。それに対して斎藤さんは“若く見えるんだから、女性の年齢について言わないでくださいよ”とたしなめてくださいました(笑)」