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 更年期の症状がつらいときは、症状を改善するため治療を前向きに検討しよう。代表的な『ホルモン補充療法』について、その効果からメリット・デメリットまで紹介。

「ホルモン補充療法には誤解が多く、ホルモンを投与するのでがんになりやすい、太りやすい、などリスクを誇張した噂を聞きつけ、抵抗感を持ったままクリニックを訪れる人が多いですね」(池下育子院長)

 実際、クリニックを訪れる女性たちは、最初は漢方療法を希望する人がほとんどだという。

「漢方療法だけでは症状が改善しないとなって初めて、ホルモン補充療法を行うことになります。ホルモン補充療法には錠剤の内服薬と、貼ったり塗ったりして皮膚から吸収する経皮吸収剤などいくつか種類があります。自分に合った薬や投与の方法を選べるだけでなく、量の調節もできます。医師と相談しながら行っていくので、怖がらずに何でも相談してみてください」(池下育子院長)

 ホルモン補充療法(HRT)のメリットとは?

 ほてり、発汗、動悸などの更年期の代表的な症状を改善するのはもちろん、不眠、イライラ、うつ状態などの精神症状にも効果が。また閉経を過ぎて女性ホルモンが欠乏すると、骨粗しょう症や動脈硬化の危険度がアップする傾向が。

 でも閉経後すぐにホルモン補充療法を行うと、骨折や動脈硬化を予防する効果も期待できる。さらに、女性にとってうれしいのがアンチエイジング効果。女性ホルモンの作用によって、肌のハリやつや、髪の毛のつやを保ち、膣粘膜の潤いも保たれるため、女性らしい美しさや、円満な性生活を続ける助けにもなってくれる。

 ホルモン補充療法は、健康管理の意味でも、若々しさを保つという意味でも、中高年の女性の心強いサポートになる。

 ホルモン補充療法(HRT)のデメリットとは?

 エストロゲンのみを長期で投与すると子宮体がんになりやすいというデータが。現在は黄体ホルモンを同時に投与することが多く、発生率は非常に低くなることがわかっている。

 ホルモン補充療法が受けられない人は? 乳がんや子宮体がんなどの人、血栓症、心筋梗塞、脳卒中の既往のある人、重症の肝臓病の人など。また喫煙者や糖尿病、高血圧コントロールの難しい人も受けられないことがある。