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 “北斗晶さんのニュースを見て、他人事とは思えなくなった”と、いま乳がん検診の希望者が医療機関に殺到しているという。

「当院にも、検診の問い合わせが多数あります。これをきっかけに、乳がんへの関心が高まってほしい」(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長・島田菜穂子先生)

 乳がんの発症は35歳から増え始め40~50代でピークに。年間9万人もがかかる女性にもっとも多いがん。早期に見つかれば治癒率が高いが、日本は欧米などに比べて検診率が低いことが問題だという。

「乳がんは子育て世代を直撃する病気。仕事も忙しく、検診もつい、あと回しにしがちです。でも、検診に行かないとどうなるか? がんが見つかったときにはすでに進行していて、子育ても仕事もままならなくなる─というケースが少なくないのです」(島田先生)

・女性の12人に1人がかかるがん患者数も増え続けている

 乳がんをひと言で説明すると、母乳を作る「乳腺」から発生するがんのこと。患者数は急速に増え、2020年のオリンピックイヤーには、年間10万人を突破するとも言われている。

 乳がん患者が増えている理由には、まず食生活の欧米化があげられる。また、晩婚化や高年齢での出産、女性ホルモン剤の多用などといった、女性のライフスタイルの変化に伴う女性ホルモン環境の変化も、乳がん増加の理由のひとつと言われている。

 現代社会を生きるうえで、否が応でもリスクが高まっている理由だ。

・超早期ならほぼ100%完治だからこそ検診が重要

 乳がんにかかるのを防ぐことはできないが、早期発見は可能。乳がん患者は日本に限らず、諸外国でも増えている。ところが、亡くなる人は、欧米先進諸国では減っているのに対し、日本では年間約1万4000人と増加傾向にある。

 その最も大きい理由は、がんの発見が遅れてしまうこと。乳がんは、非浸潤がんと言われる超早期(0期)で発見できれば、ほぼ100%完治する。

 早期(Ⅰ期)でも、10年生存率は90%以上。早めに見つければ、乳がんは怖い病気ではない。そのためには、定期的な検診がとても大事なのだ。