20140916_鳥越俊太郎_top
■「孫育てはしない。それは親の役目」、“鳥越流”教育術

 孫との付き合い方を綴った新刊『祖父の流儀』(徳間書店刊)を擾シ域怏?奄オた鳥越俊太郎さん。孫を通して若い世代との付き合い方や社会の問題を考えることは、「おじいちゃま世代の生き方や人間関係」にも大いに参考になりそうだ。

「僕がやっているのは“孫育て”じゃないからね。育てる責任があるのはあくまで両親である娘?8)子たちで、その基本だけは忘れないようにしています。よく孫のしつけや教育といった部分にまで口を出してケンカになるといった話を聞くけど、やっぱりそこは親の義務であり権利でもある。

 言いたいことはいろいろあっても、それはグッと我慢して言わない。一緒に住んでいるか離れているのかなど事情はあるだろうけど、子育てという点では過剰な干渉や可愛がりはせず、適切でほどよい距離感を保つことは必要です。その意味では、孫だけでなく親夫婦とのコミュニケーションがより大事だと思います」

“仕事であれ遊びであれ、人と人との付き合いに年齢を持ち込んだら、うまくいかない”とは鳥越さんの金言。その上で、「世代や考え方はそれぞれ違っても、今は同じ平面上に立っているんだってことを意識すること」が大切だという。

 著書の最終章に書かれた、《私たちにできる事は、子どもたちが幸せに生きるために何ができるか、どうしたらよいかを考えることだけです》という、日本の次世代に向けたメッセージも印象的だ。

「少子化や年金問題、原発に集団的自衛権と今の日本は負の遺産が山積みで、安倍政権のやり方は後の世代に大変なツケを回してしまうかもしれない。その意味でも、これから1~2年は日本にとっては本当に大事な時期。いつまで生きていられるかわからないけど、僕も身体が続く限りは現役でいようと思っているし、今は東京オリンピックまで現役でいることが目標です」

■クールに溺愛せよ! 鳥越俊太郎が薦める祖父と孫との三原則

 ジャーナリスト歴は今年で49年。74歳となった今もさまざまなメディアで活躍を続けるニュースの職人・鳥越俊太郎さん。孫の「りう君」が生まれて“おじいちゃま”になったのは2009年、4度目のがん手術を終えてからわずか40日後のことだった。

 少子化が進む昨今、初めて孫を持つ人たちの中には孫育てに積極的に参加する“イクジイ”が増加中とも言われているが「孫はクールに溺愛!」という鳥越さんが、祖父と孫の関係について提唱しているのは、こんな「三原則」だ。

1、「祖父とは孫に毒を与える存在である」

2、「祖父と孫は人間同士の付き合いをするべきである」

3、「孫は祖父のおもちゃである」

 ドキッとするような言葉が並ぶが、聞けばどれもなるほどと感じさせられる。

「言葉もそうだけど、今の子どもたちは本当に大切に育てられていますよね。できるだけ子どもが危ない目にあわないように、苦労しないように、危険なことは全部除去して綿にくるむように育てるじゃないですか。その気持ちはわからなくもないんだけど、一方で世の中は危ないことだらけなわけで、本当は小さいころからいろんなことを経験しないと。だから、せめて僕のところに来たときくらいは、世の中や現実の厳しさを教えてあげようと思ってね。もっとも、いいおじいちゃんでありたいとは思っていないけど、だからといって嫌われるのはイヤだから、嫌われない程度に加減はしていますけど(笑い)」

 孫と遊ぶことに対しても一家言がある。

「一緒に遊ぶときは、僕も5歳の気持ちになって同じ目線で全力で遊びますよ。だからおじいちゃんと孫というより、友達同士、人間同士の付き合いなんです。褒めたり怒ったりするときも同じで“孫のために”なんて思っている時点で対等に付き合っていない。今のところは意地悪しても、また“遊ぼう”って寄ってきてくれるし、ちゃんと考えが伝わっているのかもしれません」