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 夏休みに海外旅行へ出かけると、慣れ親しんだ土地とは全然違う食文化やサービス、ルールに驚いたり、日本で外国人旅行客のとんでもない振る舞いにイラッとしたりしたことはあるだろう。

 そこで日本人が驚く、世界のびっくり常識を教えてもらった。

【カナダ】夫婦・家族関係が重視されない

 養子縁組が多く行われる国もあれば、日本のように“子は生みの親が育てるのがいちばん”と血縁関係が重視される国もある。しかし、世界には夫婦や家族関係が重視されず、その時々で風のように形を変えることが当然の民族も。

「カナダ北西部に住む少数民族のヘヤーインディアンは夫婦関係も脆弱、子どもを里子に出すことも当然の文化です」(社会人類学者・原麻里子さん)

 誰とどんなグループを作るかは“効率”重視。

「アザラシの狩猟具合や、女性の皮なめしの技術で関係やあり方が変わり、家族がみんなずっと同じ場所で一緒に過ごすなんて概念はありません。極限状態だから、家族などの集団にこだわらず、個人が自立しないとやっていけないんですね」(原さん)

【スペイン語圏】結婚すると父母の名字を合体させる

 結婚すると、夫婦が同じ名字になるよう定められた日本。家族になったなぁと感じるポイントでもあるけれど、スペイン語圏では変わらないとか。

「結婚しても夫婦お互いの名字は変わりません。ただし、子どもが生まれると、“子どもの名前+父方の名字+母方の名字”というのが基本的な形になります」(江戸川大学・斗鬼教授)

 これを日本の名前でたとえると、“太郎・山田・鈴木”のようになるということ。スペインの画家・ピカソの正式な本名は長い洗礼名が入り、パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ~(中略)~ルイス(父方の姓)・ピカソ(母方の姓)。

「スペイン語圏では名前が2つある人も多く、愛称で呼ばれる人も多いのです」(斗鬼教授)

【ミクロネシア】家族内でも男女別、おじいさんの世話禁止

 平日は妻、休日は夫が料理当番など、ライフスタイルによって家事を協力しあう夫婦も増えてきた日本だが、ミクロネシア連邦ヤップ島の伝統文化では男女分業が基軸になっている。

「未婚の男性は集落の男子宿舎に泊まりました。住まいも男の家と女の家に分かれていて、たとえ夫婦であっても食事の準備は別。炊事場も男性用と女性用に分けられ、家族でも別々に食事の用意をしていました。これは、昔からこの民族にある“女性不浄”の考えから。月経小屋も用意されていたのです」(斗鬼教授)