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 現代人の暮らしと切っても切れない関係のストレス。なかでも、職場でのプレッシャーは強い負担に。ブラック企業にリストラ、雇い止め、サービス残業、果ては過労死まで、厳しさを増す労働環境が背景にある。

 こうした状況から、働く人の心の健康を守るための『ストレスチェック制度』(改正労働安全衛生法)が昨年12月に法制化された。

「50人以上の社員がいる企業に、年に1回の施行が義務づけられており、厚生労働省のホームページでは“心理的な負担の程度を把握するための検査”としています。

 うつ病患者の数は年々増えており、それに比例するように近年、休職・退職する人の数が増加傾向にあります。労働者のメンタルヘルスの不調を未然に防止することを目的とした制度なのです」

 こう語るのは、精神科医で『ゆうメンタルクリニック』代表のゆうきゆう医師。過労やストレスで“心の病”になったとして、労働災害(労災)の認定を受けた人は昨年、過去最多に。そのうちの6割を30代~40代の働き盛りが占めているという。

「雇用側が労働者全体のストレスの程度を把握し、労働環境の見直しを図るために使われます」(ゆうき医師)

 具体的には何をチェックするのか。

「医師などが労働者にストレスチェックを実施します。ストレスの高い状態の場合、面接指導を実施して、ストレス改善を促すのです。チェックには、厚労省の作成した簡易ストレスチェック表をそのまま使用してOK。一定の科学的根拠に基づいていれば、各事業所が独自に作成したチェック項目を使用してもかまいません」(ゆうき医師)

 厚労省の簡易ストレスチェック表では、チェック項目に対して4段階で回答。“職務の負担度”“心と体の自覚症状”“他の労働者からの支援度”が算出できるようになっている。

「これによって、心の不調が“起こる前に”ストレス要因になりうるものに、働く人自身が気づくことができます。“あぁ、自分はこんな点でストレスを受けやすいんだな……”と自覚し、“じゃあ、本格的に不調をきたす前にこうしたらどうだろう?”“上司に相談してみよう”“1度、メンタルクリニックを受診してみよう” といった対策を練ることも可能に。余裕のあるうちに、心の不調と対峙できるのです」(ゆうき医師)

 本格的な不調に陥ってしまうと、自分自身で冷静な判断をすることは難しい。そうなる前に、心の不調のタネを早期発見することが重要なのだ。

「また、厚労省によると、ストレスチェックのデータを労働環境の改善のために利用するとしています」(ゆうき医師)