昨年末に起きたマクドナルドの異物混入事件。これを皮切りに、次々と同様のトラブルが明るみに出たのはよく知られるところだ。

「食品を扱う以上、ある程度の異物混入は避けられません。それが売り上げにして1億円に1件、商品の100万個に1件程度の割合であれば、優秀なほうです」

 こう語るのは『食品安全教育研究所』代表の河岸宏和さん。外出の際、食べ物に"異物"が入っていたという経験をした人はいることだろう。松山ゆかりさん(36・主婦=仮名)も、そのひとりだ。

「5月初めに、イタリアンのファミレスに夫と小学校低学年の娘と出かけました。何品か注文したうち、スープに噛み切れない固さの"何か"が入っていたんです。タテ2㎝、ヨコ3㎝の木のかたまりのようでした」(松山さん、以下同)

 それに2口目で気がついた松山さんは、40代前半とおぼしき男性店長に指摘。"新しいものをお持ちしますか?"と聞かれたものの、また何か入っているかもしれないと思い、申し出を断った。

 再び店長から"解析しますか?"と言われたため住所や電話番号などを伝えると会計をすませて店を去った。会計にはスープの代金も含まれていたという。後日、店長から連絡が来た。

「"解析の結果、植物由来のもの、商品の材料から察するにタマネギの芯だと思われます。食べても排泄されるので影響はありません。資料は社外秘なのでお見せできませんが、写真は見ることができます。いらっしゃる場合、私が出勤しているときに来てください"という報告の電話。開いた口がふさがりませんでした」

 謝罪の言葉はいっさいなし。店に非があるにもかかわらず、客に再び足を運ばせるという点にも不信感が募ったと、松山さんは語る。

「スープが会計に計上されていた点を指摘したら"新しいものをお持ちしますかと確認しましたよね?"と逆ギレ。なぜ資料は社外秘なのかを聞けば"見せられないので口頭で読み上げます"と電話口で音読。埒が明かないので、上の人へ取り次ぎを頼んでも、"この件に関しては私しかお話しできません"と言い張る。アキレを通り越して笑いそうでした。あまりにひどくて」

 前出の河岸さんいわく、

「この対応はありえない。しかし、このように客にぞんざいな扱いをする店は、いまや珍しくありません」

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ツイッターでは異物混入を訴える投稿が続出

 背景にはSNSの普及が大きく影響しているという。

「かつては異物混入事件があっても、ここまで大きく騒がれませんでした。ツイッターへ投稿するなど、誰でも容易に店の評価を発信できる時代だから"炎上"するほどの騒ぎになるのです」(河岸さん、以下同)

 "いつ行っても売り切れ""しょうゆがなかった"などの小さなことでも、SNSを通じて多くの人に拡散される。すると店側も過敏にならざるをえず、クレーム対応専用の教育を行うなど、警戒を強めている。

「SNSで消費者が企業イメージの判断材料を得やすくなった反面、企業側は消費者の声に対し"面倒くさいもの""煙たいもの"という先入観でとらえるようになった。客をないがしろにする傾向が強まったのです」

 松山さんのように、決して怒っていたわけではない人までクレーマー扱いをするのでは、企業みずから炎上の火種に薪をくべているようなものだ。

「初期の謝罪でおさまっていた苦情でさえ、最近は大きなトラブルに変わってしまうケースも多い」

 松山さんの件について前出のファミレスを直撃したが、期日までに回答はなかった。


河岸宏和さん ●『食品安全教育研究所』代表。食品工場の品質管理を経験したプロ。『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』(東洋経済新報社)ほか著書多数