専門家が分析

夫の豹変「小遣い制の家庭の夫は鬱憤がたまりやすい」

2015年12月07日(月) 05時00分
〈週刊女性12月15日号〉
2015年12月07日(月) 05時00分
〈週刊女性12月15日号〉

tsuyuki1207

 金の持ち逃げ、愛人トラブルなど夫にダマされた妻も増えているという。

「うちは夫が突然、白状したんです。“浮気相手の夫から脅されている。すでにお金を渡してしまった”と。何がなんだかわからずパニックになりました」

 そう話すのは靖子さん(59)だ。3年前、定年間近の夫が浮気を白状し、さらに貯蓄のうち300万円を浮気相手の夫に渡したと言い出した。

「もう2度と会わないと一筆書いたのに3か月後、また会って関係をもってしまった。それで再度、相手の夫にお金を請求された。もう黙っていることは無理だと、私に打ち明けたんです」(靖子さん)

 夫は教職にあり、まじめで家族思いだった。ふたりの子は独立、退職後は夫婦で旅行をしようと楽しみにしていた。そんなときに持ち上がった不倫騒動。

「定年直前の狂い咲きだったんでしょうか。あとから思えば、ふいに鼻歌を歌ったりしてかつてないほどご機嫌な日が多かった。そのときは気づかなかったけど。信頼していましたから」(靖子さん)

 老後のための預金を、これ以上とられてなるものか。ショックを乗り越え、靖子さんは反撃に出た。弁護士に相談し、相手の女性を訴えると手紙を出した。

 同時に夫に仕事を辞めさせ、夫が趣味の陶芸でときどき行っていた北関東の窯元へ身を隠させた。退職金は減ったが、コトが公にならないうちに引退させるしかないと思ったのだそう。

「結局、2度目はお金を払わずにすみましたが、相手の女性が家に乗り込んできて“あの人に会わせて”と叫んだことも。夫は本当に愛されていたのか、相手の夫を巻き込んだ美人局みたいなものだったのか、いまだによくわかりません……」(靖子さん)

 夫は何度も、妻に向かって泣いて土下座したという。

「家を売り払い、小さなマンションを買いました。腹は立ったけど離婚するつもりはなかったので、ほとぼりが冷めたら、夫とそこで暮らすつもりでした」(靖子さん)

 だが夫はある日、駅のホームで突然倒れてしまう。そして、そのまま意識が戻ることなく亡くなった。

「なんだったんでしょうね、あの人の人生も、私たちの結婚生活も。怒りの持って行き場がありません」

 靖子さんの切なそうな表情が印象に残る。

「まじめだった夫が豹変するケースは珍しくない」

 行政書士で男女問題専門家の露木幸彦さんは言う。

「傾向として、小遣い制の家庭の夫は鬱憤がたまりやすい。また、浮気の予兆としては、親戚の集まりに出なくなったという例も。いい夫、いい父親ほど熟年になると豹変しやすく、定年後に再雇用先で若い女性と関係をもつケースも多い」

 子どもも成人し、自身が定年を迎えたとき、男性は一応の責任を果たしたとホッとする。と同時に、人生を振り返って急にやるせなくなるのかもしれない。家族のためにひたすら働いてきた、しかし自分の人生はこれでよかったのか、と。そこにたまたま自分を思ってくれる女性が現れたら、ふらふら向かっていってしまう可能性は誰にでもある。

「夫の仕事や家庭でのストレスに妻は案外、気づいていないのではないか」(露木さん)

 ストレスがあるから夫が不倫に走るとは限らないが、妻が「理想的な家庭」と安穏としているとき、実は夫にはほかに女性がいたのだ。夫婦の気持ちには、常に温度差や齟齬があるのかもしれない。

「不満に思っていることは、きちんと話し合うべきです。例えば老後、どちらかが倒れたらどうする? と具体的な話をして、相手の気持ちを探ることも必要かもしれません」(露木さん)

取材・文/亀山早苗。ノンフィクション作家。男女、恋愛、性の問題等をテーマに執筆活動を行う。近著に不倫妻66人の告白本『妻たちのお菓子な恋』(主婦と生活社)ほか。

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