千葉県船橋市の県立薬園台高校で4匹の子猫が生き埋めにされた。教師が指示し、生徒に作業を手伝わせたという。いったいどういう神経の持ち主なのか。


「保護者から、先生が子猫を生き埋めにしたという情報提供があった。本当ですか?」

「本当です」

 千葉県立薬園台高校で卒業式の朝、学校幹部から情報の真偽を尋ねられた30代の男性教師はあっさり事実を認めた。幹部は耳を疑ったという。

 同校によると、3月6日午前11時ごろ、園芸科を担当する男性教師は校内農場の温室で子猫4匹を発見。処置に困って午後4時ごろ、農場脇に穴を掘って生き埋めにした。

「体長5センチ程度で手のひらに乗る赤ちゃん猫でした。へその緒がついており、温室に入り込んだ野良猫が出産したようです。母猫に踏みつぶされたとみられる1匹の死体もあり、一緒に埋めたそうです」

と同校教頭は話す。

 命の大切さを説かなければならない教師なのに、発想がおそろしい。さらに問題なのは、受け持ちクラスの男子生徒3人に穴掘り作業などを手伝わせていたことだ。

「1人はスコップを持ってくる係。もう1人はスコップ先端の刃の上に猫を乗せる手伝いをしました。温室から猫を運び出すためです。3人目は穴を掘る係。直径約50センチで深さ70センチぐらい。土をかけて生き埋めにしたのは男性教師ひとりです」(同校教頭)

 手伝った生徒はみな、猫を生き埋めにするとは知らされないまま解散した。しかし、生徒の1人は、男性教師の行動を遠巻きに見ていた。ニャーニャーという鳴き声が次第に聞こえなくなり、どれほどショックを受けただろう。

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男性教師が猫を生き埋めにした校内農場脇の現場


 なぜ、埋めたのか。男性教師は学校側の聞き取りに対し、

「犬は保健所が引き取ってくれると聞いたことがあるけれど、猫は引き取ってくれないと思っていた。親猫がいなかったので、このままだとどうせ死んでしまうと思った」

と説明。自分の管理する温室のため、授業に支障が出ることを心配して焦ったという。

 船橋市動物愛護指導センターの矢島洋一所長は「子猫も引き取っています。先生はご存じなかったんでしょう」として次のように語る。

「生後2か月ぐらいまでは譲渡対象になる。ここ1年で約200匹の猫を引き取っており、90匹は新しい飼い主を見つけることができました」

 ただし、厳しい現実も。母猫と離れた子猫はお乳をもらえないため育ちにくく、生後1か月未満はほぼ殺処分になるという。しかし、苦しまないように注射で安楽死させる。

「捨てられた子猫を少し育ててから持ち込む人もいます。生後1か月ぐらいまで育ててくれれば、うちで2か月まで育てて飼い主を見つけることができたかもしれない。相談してほしかった」(矢島所長)

 同校は県下有数の進学校。男性教師は5年前に着任した。

「厳しい先生です。わりと自由な校風の中、挨拶や身だしなみなど生活指導にうるさかった」と男子生徒は話す。

 前任校の幹部職員は「うちでは乳牛も飼っているし、小動物を生き埋めにするようなことはなかったと信じたい」と戸惑いを隠さなかった。県警は、動物愛護法違反の疑いを視野に任意で事情を聴いている。県教委は正式な報告を待ち、原因究明を進めて厳正に処分する方針だ。男性教師は卒業式の日、担任クラスで「本当に申し訳ないことをしてしまった」と謝罪。